花嫁さまは16歳
 シリーズ…フラワーコミックス
 著者…悠妃りゅう
 出版社…小学館
 巻数…全3巻
 発売年…2008年〜
 掲載誌…Sho-Comi
 参考リンク…小学館コミック




■ ストーリー ■
 親一人子一人で育った清水珠姫。その母親も他界し、遺言状に従って鳳家を訪ねる。そこで珠姫を待っていたのは、大手化粧品メーカーの若社長であり、超俺様のサイテー男・鳳辰牙。「今日から俺の妻だ。」と宣言され、珠姫は見知らぬ男と強引に結婚させられてしまった…


■ 総評 ■  ★★★☆☆

 奥様が高校生ということを匂わすベタなタイトルですが、こういう種のテーマを扱った作品って意外と奥様は○○とか多いので、無難なところかなとも。ただ、内容的にはあらすじを読んでみて、ちょっと面白そうだったの買って読みましたが、所詮小学館なんで予想できる作品の質でしたが、それでも個人的な好き嫌いでいえばけっこうお気に入りの漫画です。
 辰牙の超俺様でSなところ、それに振り回される珠姫。そして、珠姫を小さい頃から想っていた天理。3人のキャラクターがとってもよかったことと、作品の雰囲気・世界観なんかも個人的には受け入れられるところも好きな理由のひとつです。

 物語全体としては、辰牙のSぶり、珠姫のおっちょこちょいなところが笑えて面白かったです。一話完結方式なので、物語自体はあまり深く掘り下げていませんが、あらすじ読むとシリアスな内容かと思いきや、わりとコメディタッチで描かれているので、進行具合とかちょうどよかったです。

 小学館なのでHな要素もあり、この作品でもそういった内容を扱っている話がありましたが、そこは作者のセンスで、生々しくならずだけども読者をドキドキさせるような仕上がりになっていて、そこはうまく描いていたなと思います。
 もちろん辰牙は珠姫の夫なので彼女を犯そうとする場面も度々出てくるのですが、ちゃんと辰牙の役のポジションもわかったうえだし、辰牙のキャラクター性も十分に伝わってくるので、読んでいて不快にはなりませんでした。

 3巻で完結という、連載にしては短いですが、たしかにこのストーリーをダラダラと描いても飽きられる感じはあります。それでも、もう少し続いて辰牙と珠姫の様子を見ていたかったという気持ちもあり、ちょっと残念。その後の物語が特別に描かれたというのも納得です。


■ 登場人物 ■
 
鳳 珠姫
 高校2年生。母が亡くなり許婚と結婚することに。
 
鳳 辰牙
 珠姫の夫。化粧品メーカー社長。
 
宗像天理
 珠姫の幼なじみ。IT企業社長。


※ここより下はネタバレとなっています。了承したうえでお読みください。


 1巻  2008年7月25日 発売

 [ 第1話 ]

 親が亡くなって身寄りがなくなった珠姫が訪ねた家で待っていたのは、超ゴーインなサイテー男!しかも、その男と借金のカタに結婚!!どひ〜〜\(◎o◎)/!でも、少女漫画っぽくて、個人的にはこういう設定はツボです。見知らぬ男の嫁になるっていうのが面白いじゃないですか。
 珠姫から見れば見知らぬ男だけれど、親同士が仲良くて、それぞれの子供同士で結婚を望むといういわゆる許婚の関係にある珠姫と辰牙。辰牙は珠姫の家の借金を肩代わりしているということで、辰牙には逆らえない状態。珠姫の意思はないまま勝手に結婚が成立するという、珠姫の振り回されぶりが面白いし、現実としてはあまりないようなことだけれどこの物語のつかみとしてはOK。

 最初はわけがわからずの状況だった珠姫が、「この人のことサイテーだって思ったけど、一緒にいたらもしかしたらマシなところもみつかるかもしれない。」と、次の日には覚悟を決めて結婚生活を前向きにスタートさせるあたりが非常に良いかなと。好感持てそうで珠姫の花嫁生活を応援したくなっちゃう感じです。

 一方、相手役の辰牙は珠姫にいきなり「おれの妻」だとか、珠姫のファーストキスを奪ったり、いきなり珠姫に襲いかかろうとしたかと思えば、ただ遊んでいるだけのような態度で、ゴーインなサイテー男という印象を与える。珠姫のことを「これから珠姫の人生で遊んでやる。」とか、何を考えているのかわからない感じ。
 辰牙は19歳で父の会社の跡をついで、現在21歳の超若社長!相手の性格は悪いけど、いきなり社長夫人という玉の輿は珠姫にはおいしい話だよ。(笑) こういうぶっとんでいるところも面白い。



 [ 第2話 ]

 強引な辰牙に連れてこられた新婚旅行。珠姫は意地をはってしまったのか、辰牙のいうこと聞かなくて、辰牙もまた子供の珠姫にカチンときたり、夫婦なのに全然まだ心が通っていなくて、ケンカばかりして、珠姫が辰牙に遊ばれちゃってる感じが面白いですね。
 さすが大手化粧品メーカーの鳳コスメティックジャパン。新婚旅行といって自家用ジェットでどこだかわからない所有の島に行くという、生活がそんなに裕福ではなかった珠姫の目線でみると、鳳家のすごさが際立ってみえます。

 辰牙が数日家を空けていたことに腹が立っていた珠姫でしたが、自分を新婚旅行に連れてくるためだと知り、そして、海で溺れそうになった自分を助けてくれるなど、サイテー男だけど本当は優しいのかもしれないという辰牙の様子が垣間見れ、それに心を動かされる珠姫と同じように読者も辰牙がどういう人なのかということに関心を持ち始めるところかなと思います。



 [ 第3話 ]

 ゴーインな辰牙にまたまた振り回されて今度やってきたのは、鳳グループ会長であり辰牙の叔父の家。結婚のあいさつをするためだけど、珠姫はセーラー服のまま。もちろん周りには歓迎されていない雰囲気だし、挨拶なのに制服というのはまずい。だけども、辰牙は自分の嫁がどんな人かひと目でわからせるためだということで、たしかにそうだよなぁ。セーラー服=学生っていうことがすぐわかるからね。そういうところはさすが頭の切れる辰牙です。
「おまえがいくつだろうが、何を着てようが、お前は俺の嫁だ!誰にも文句は言わせない!」
辰牙かっけー!こんなセリフ言われてみたいもんですね。

 勝手に自分を振り回す辰牙に「辰牙なんてキライ!」と言い放った珠姫に、自分を好きだと言えと迫る辰牙。「キライじゃないわよ。でも、好きなんて言えない。」という、なかなか辰牙に対して「スキ」と言わない珠姫がいじらしいです。でも、読者から見ても珠姫が辰牙に好きという感情を抱いているようには見えませんね。

 親戚の顔(とくにおばさん)が怖すぎる… 少女漫画っていうより少年漫画に出てきそうな絵のタッチでした。親族のイジワルに耐えて、堂々としている珠姫はなかなか。しっかりしてるところがある子です。



 [ 第4話 ]

 珠姫のお母さんと辰牙のお父さんが昔恋人同士だったという事実。でも一族に反対されてそれぞれ違う人と結婚。でも、相手のことが忘れられなくて、お互いの子供を結婚させたいという遺言が残っていて、辰牙は家庭をかえりみない親に育てられたという悲しい過去が。辰牙が珠姫と結婚したのは自分を縛り付けて復讐するためじゃないかなんて言われてるけど、家を出てしまった珠姫を心配する辰牙から、珠姫に復讐しようとかいう気持ちははたして本当にあるのかなと思います。前回登場した辰牙のはとこ・るり子さんの嫌がらせ的行為じゃないかなと。ああいう一族争いにありがちな人物です。

 信じられなくなってしまった珠姫が辰牙に身をゆだねる場面は、辰牙を想う気持ちと自分自身の辛さなどのいろいろな思いがあって切ないですが、「抵抗しないお前を抱くのも面白くない。」と珠姫を弄ぶ辰牙のSぶりもまたよいです。これで本当にやってしまったら物語もろくに始まっていない時点でチープな印象を与えていたでしょうから。



 [ 第5話 ]

 これ以上辰牙に迷惑はかけられないからと鳳家を出た珠姫。ひとりぼっちになった珠姫を迎え入れてくれた夫婦は、お店の「おしどり」という名の通り、珠姫に優しくてまた仲良さそうというには語弊があるかもしれないけど、それくらい珠姫を歓迎してくれた素敵な人でした。

 辰牙のもとを離れてやっと気付く、「辰牙が好き」という気持ち。辰牙もまた珠姫を最初は怨んでいたけれど、それとは別に大切にしたいという気持ちもあり、やっと二人が夫婦として心を通い合わせることができて、私もホッとしまった。辰牙に結婚指輪をもらって、やっと二人の本当の意味での結婚生活が始まるのかなと思います。


 2巻  2008年10月24日 発売

 [ 第6話 ]

 もうすぐ辰牙の誕生日。大切なものはないと言っていたけれど自分に指輪をくれた辰牙のために、バイトしてお金貯めてバースデープレゼントを贈ろうとしますが、珠姫が派遣された職場が鳳グループのホテルなんて世の中狭すぎ。(笑) しかも、社長夫人が夫の関連会社のホテルで便所掃除なんてすごい光景だと思う。

 辰牙のバースデーパーティの日に、嫌がらせというべき化粧室のトラブルが起こり、それを居合わせた珠姫が掃除するハメに。珠姫をこき使った上司はまさか鳳コスメティックジャパンの社長夫人だなんて思わないだろうから、実に怖ろしいことを頼んでいるもんだと。後でバレた時の反応を考えるとワクワクしながら読んじゃいます。

 誕生日会は珠姫を妻として公表する目的もあり、トイレ掃除で汚れた珠姫を抱き上げてしまう辰牙のカッコよさ。自分の知らないところでの珠姫の活躍は辰牙も誇りでしょう。珠姫はいいお嫁さんになりそうです。珠姫の活躍も認められ、二人はみんなから祝福され、最後はラブラブ辰牙&珠姫。1巻のツンツンした二人とはえらい違いです。



 [ 第7話 ]

 珠姫の幼なじみ・天理登場〜。よくあるのは、相手役の男の昔の彼女という流れだけど、辰牙にとってのライバルであり、二人で珠姫をとりあう展開か。珠姫のことを慕っているのか、でも、天理は珠姫の結婚は知らなくて、面白くない。しかも、天理も会社経営している人らしく、辰牙と同じような派手なタイプで、珠姫によってくるのは金持ちのいい男ばっかりだなぁ〜。

 早くも辰牙VS天理のバトルが繰り広げられているけれど、珠姫にとって天理は優しいお兄ちゃんみたいな存在で信用しちゃってる。だけど、辰牙からしてみれば敵なのは明白で、近づくなと言っても聞いてもらえなくて、なかなか思うようにはいかないもんです。
 とりあえず今回は珠姫の携帯についていたGPSのおかげでなんとかなりましたが、天理にも珠姫は会わせないと、まだまだ二人の火花は散りそうです。それにしても珠姫のケータイにGPSだなんて、これじゃ珠姫は浮気もできやしない。(笑)



 [ 第8話 ]

 つくしを食べてみたいという辰牙のために、山につくしを採りにいった珠姫。(辰牙ってお坊ちゃんだから、つくしなんて食べる発想がないんだろうなぁ。) そこで再び絡んでくる天理。もう二度と天理とは会うなと辰牙に言われた珠姫だけど、天理のこと信用しちゃってるし、天理の方も引き下がるわけもなく、珠姫のつくし採りの跡を追う。
 沼に落っこちて着替えなのない珠姫に自分の服をかしてあげた天理だけど、珠姫のほうは下着まで泥まみれで、下は着けていたのものの、ブラは外して上着一枚で帰ってくるという、なかなか大胆な子。辰牙嫌がるだろうなぁ〜って当たり前だよ。珠姫は辰牙の奥さんなんだから、裸も同然の格好を夫以外の男にさらけ出すなんて、辰牙でなくても怒るでしょう。
 珠姫はもともと庶民なのでしょうがないけれど、社長夫人なのに今までと変わらない様子にクスッとさせられるんだけど、それが可愛くもありますね。

 珠姫が山に行ったのは自分のためだと知ってあやまる辰牙。そして、そのままの格好の珠姫の体に自分のしるしを残すという微エロ加減にドキドキします。



 [ 第9話 ]

 辰牙との体の関係に悩む珠姫。そんな時に辰牙の過去の女達リストなるものが珠姫に送られてきて、自分以外の過去の女性たちはHしたとかいろいろ考えてしまう。話の内容はちょっと恥ずかしいけれど、珠姫にとっては真剣な悩み。本当は作品としてはひとつのことを深く掘り下げるのは良質のひとつだろうけど、この漫画は基本一話完結式なので、それまでと同様軽いタッチで描かれていたのはへんに生々しくなくてよかったし、だけども珠姫の真剣さが伝わってくる感じでした。

 会社の社長さんたちが集まったパーティ会場の中に辰牙の過去の女性と思われる方が。今はただの知り合いと言っていましたが、今はということは過去はやはりただならぬ関係だったのか。

 最後の方で辰牙とHできないことに悩んでいたことを珠姫は告白したけれど、それに対する辰牙の言葉はここで活字にするほど恥ずかしいセリフでした。体の関係がなくても珠姫がそばにいればそれでいいみたいな内容です。気になる人はコミックスの2巻を読んでください。小学館の漫画って読んでいて恥ずかしくなるようなセリフが多くて参ります…



 [ 第10話 ]

 新商品の香水を作っていた辰牙。珠姫をイメージして作った香水ということで、市場に出された商品が実は自分のために作ってくれたなんて、一生の記念だし珠姫は幸せ者ですよ。しかもその商品は「PRINCESS MARGHERITA」(プリンセス・マルゲリータ)、日本語訳にすると「真珠姫」。その中の文字には「珠姫」となるわけです。

 最初に辰牙を香水で悩殺しようと思ってもダメで、急に電話し出したので不安になる珠姫でしたが、私は女のところに行くとまでは思ってませんでした。辰牙の方は珠姫が香水つけて自分を落とそうとした魂胆がまるわかりのようで、やっぱり辰牙は珠姫を弄ぶS男なんだなと。どうやったら辰牙は珠姫にドキッとするんでしょうかね。


 3巻  2009年1月26日 発売

 [ 第11話 ]

 夏休みになって男交じりのキャンプにでかけた珠姫。この話でなにが言いたいかっていうと、辰牙がヤキモチやいてくれてもいいのに、あっさりOKして送り出す辰牙に荒れる珠姫だけど、辰牙は実はヤキモチやいていたということ。余裕そうなおとなの対応に少しはヤキモチやいてほしいと思う珠姫がいじらしいですね。

 珠姫たちがキャンプを楽しんでいると、大型の台風が襲ってくる。しかも、薪を取りに行った珠姫がまた落ちた…!海に堕ちて、沼に落っこちて、今度は崖から落ちる… 負けん気で行動派なんだけど、おっちょこちょいなところがご愛敬。よく落ちる子・珠姫、もっと足元をよくみた方いいですね。(笑) ていうかキャンプ行く前に天気予報は見てこなかったんだろうか?と素朴な疑問。こういうところをツッコんではタブーか。

 そんな中で珠姫を助けにきたのはやっぱり辰牙。事前に珠姫と電話していたのが良かったのか、珠姫の異変に気づき、GPSの履歴を使って自家用ヘリで飛んでくるという、相変わらずカッコ良い辰牙です。GPSが良い意味で役に立つこともあります。救助した珠姫を連れていったのが、これまた鳳系列のホテルということで、鳳家というか辰牙の金持ちさに改めてすごいなと思う回でした。こういう感想しか出てこない私は一般庶民です。(笑)

 本当はヤキモチやいていた辰牙が、珠姫にお仕置きをしようと襲ってきますが、自分を散々心配させたからと中断、あずけを食らってしまった珠姫に、「100回キスしたら続きしてもいい。」とか、辰牙のSぶりは相変わらずで。まさか珠姫が辰牙のお嫁さんとは知らず、珠姫の帰りを待っている呑気な男性陣が哀れです。



 [ 第12話 ]

 再び天理登場です。結婚してることが学校に公表され、成績の下がった珠姫が学業と妻の両立をできるよう証明しなさいということで勉強に励む。たまたまなのか必然なのか、珠姫の前に現れた天理が珠姫に勉強を教えることに。なんだけど、いつもと様子が違う天理に不安になる。二人きりではまずいと思い、外へ出かけることを提案した珠姫でしたが、やはり天理はどこかへんで、ついに珠姫に告白をする。珠姫の母が亡くなった時、自分がそばにいればよかったとか、会社の社長になったのも珠姫のためだとか、やはり珠姫のことをずっと思い続けていた。小さい頃からの仲良しだった天理と珠姫。珠姫は「天理のお嫁さんになる。」とか言って、その言葉をずっと天理は信じていたんですよね。子供の頃の「○○と結婚するの。」というのは、漫画によくある関係で、その小さい頃の思いをずっと信じている。でも、それは片方だけど、相手の方は初恋だとかただの憧れ的な感情だったりして、サイドストーリーで展開される幼なじみの恋が結ばれることのないケースは悲しいけれど、それもまた脇のさだめだし運命なのかもしれないですね。
 珠姫の引いた大吉のおみくじを燃やしてしまった天理が怖い… 恋が実るみたいなことが書いてあるけど、珠姫の頭にあるのは辰牙のことで、天理といても考えるのは辰牙のことという、おみくじを焼いたことで辰牙を消滅させるような天理の行動が彼の珠姫に対する気持ちがよく現れているなと。

 天理が珠姫を襲おうとし時、これまたタイミング良く辰牙の登場。それはもう辰牙が怒り狂って天理をなじりますが、いつもクールな顔している辰牙の冷静さを失った場面を見ると言うのも読者としては楽しいです。



 [ 第13話 ]

 珠姫にとっては辰牙だけ。出て行きたければ出て行けばいいと言われ落ち込む珠姫。そんな時に、天理が海外へ戻ることを知る。天理の様子がおかしかったのは珠姫にまた会えなくなるから挨拶にきたということ。珠姫は今の関係にけじめをつけるために天理に会いに行く。もう天理とは会えないと… 二人の空港でのお別れ場面は切なかったです。別にもう一生会えないわけではないけれど、天理に恋愛感情があるうちはもう二度と会えない覚悟で別れを告げる珠姫に、二人はもう本当に会ないのなかなというちょっとセンチな気持ちになりました。「バイバイ、僕のお姫様」天理の去り際のこのセリフが「負けた」という感じでより一層切なくさせます。

 辰牙に気持ちを示すため、辰牙以外のすべてのものを捨てようとする珠姫。なにもそこまで… 辰牙も過去や親は捨てる必要はないと。辰牙がこだわっているのは、過去やしがらみではなくて、珠姫に対する気持ちなんですよね。自分以外の男が珠姫を女として意識してることが許せない、ただそれだけ。「お前を護る必要がないなら社長でいる意味もない。」珠姫、愛されてます。
 だけどやっぱり天理に関しては、簡単に会えないのかなって。そういうのって正しい答えはないと思います。結婚した相手の人次第だなと。相手がどこまで許してくれるかとか、相手の寛大さが左右されてくると思います。きっと、天理もちゃんとしたパートナーを見つければ辰牙の敵とならず珠姫の幼なじみと認められて仲良くしていけることと思います。というか、そう望みたいです。



 [ 第14話 ]

 珠姫はテストでいい結果を残して無事学校を続けられることになって、辰牙との仲もラブラブで幸せモードです。そこでイタリアへ仕事に行く辰牙について行けることになった珠姫。だけど、辰牙は仕事で、珠姫はひとり部屋に残される。
 行動派の珠姫がじっとしていられるわけがなく、トレヴィの泉へ行こうとしたらスリに遇って道に迷ってナンパされて…散々なローマ編。珠姫って本当におっちょこちょいで迷惑かける子だな。(笑) そのたびに心配しなくてはならない辰牙がお気の毒さま。
 トレヴィの泉で珠姫が願おうとしていたのは、辰牙の仕事の成功。それを知った辰牙はSで相変わらず珠姫を困らせてるけど、心の底では嬉しかったんだと思います。だから、ああやってキスする行動ができる。
 それでもひとりで勝手にいなくなったことは心配で、そこでもやはり辰牙はSで、珠姫を犯してしまうぞ的な発言をしたら、珠姫にはもうその覚悟はできているのかで、いつもの動揺する珠姫とは違いました。そして、とうとう二人が本当の意味で結ばれました〜!しかも、初がイタリア・ローマのホテルというなんともロマンチックな場所で。よかったね〜と私もしみじみ。
 そういう描写はあるものの、女性の完全な裸体や行為ははっきり絵描かず、その寸前やうまくぼかした感じが、妙に生々しくなくて下品にはなっていません。逆に、ギリギリのところが想像力がかきたてられて良いです。



 [ 最終話 ]

 珠姫の妊娠疑惑です。生理が遅れていることに不安になり、もし本当に子供ができていたら…でも辰牙は子供がキライと知ってさらに不安になる。怖くて言い出せないまま、自分で妊娠検査薬で調べようとしたけれど、持っていたのを落っことして辰牙に見つかるという、最後まで珠姫のおっちょこちょいが物語をうまく進行させ楽しませてくれました。
 でも、辰牙は珠姫の子供は格別だ、と珠姫の不安をかき消して、二人で育てていこうと誓います。実際に珠姫は妊娠してることがわかり、最後は二人の結婚式で締めるというとてもハッピーなエンディングが、珠姫&辰牙がこれから幸せな家庭を築いていくという未来を暗示しているような素敵なラストになりました。(珠姫、学校はどうするのかな?)







野獣の蜜約
 シリーズ…フラワーコミックス
 著者…悠妃りゅう
 出版社…小学館
 巻数…全1巻
 発売日…2009年10月26日
 掲載誌…Sho-Comi
 参考リンク…小学館コミック




■ ストーリー ■
 鳳皐姫は、自分を護ってくれるような男とドキドキる恋がしたいと夢見る女子高生。父親以上のカッコイイ男を探すため、合コンに通い詰めている。そんな時、皐姫の前に4歳年上の幼なじみ・哲也が現れて…!?


■ 登場人物 ■
 
鳳 皐姫
 高校生。珠姫&辰牙の娘。
 
哲也
 皐姫の幼なじみ。


 ■ 総評 ■  ★★★☆☆

 「花嫁さまは16歳」スピンオフ作品です。珠姫&辰牙の娘・皐姫の恋模様を描いてます。

 皐姫は父親(辰牙)以上のカッコイイ男をゲットしようと遊び歩いているわけですが、そこへ幼なじみの哲也が現れて、皐姫の心をかきみだす。哲也は皐姫のことを好きで追い回すけど、実は警備会社の息子で、遊び呆けて心配な皐姫の護衛を頼まれていた…という事実。そのことにショックの皐姫だったけど、護衛は哲也自ら志願したことだとわかり、だんだん哲也に惹かれている皐姫が哲也に告白されてやっと二人が結ばれる、というストーリーにあまりひねりがなく、たいした障害もなくハッピーエンドを迎えますが、短いスピンオフなのでこれくらいでちょうどいいといえばちょうどいい。たぶん、このスピンオフが描かれたのは、辰牙&珠姫の子供が見たいということだろうと思うので、あまり内容にこだわる必要もないのかなと。

 哲也はこれまた辰牙と同じような、どちらかといえばSな男。珠姫の娘ですから、男の好みも最終的には母親と同じ系統を選ぶのでしょう。皐姫は、高校生の頃の珠姫にそっくり。行動派なところとか。ただ違うのは、当時恋におくてだった珠姫だけど、皐姫は恋に積極的。それはたぶん、両親のような恋がしたいとか、父親のカッコ良さに憧れて自分もいい男を見つけるという、両親からの愛をたっぷり注がれているんじゃないかなと思います。きっと、辰牙や珠姫は皐姫に自分たちのことを話していたんじゃないかなぁと想像します。

 設定としては皐姫が高校生、珠姫が33歳と言っているので、17年後かなと思います。辰牙は38歳という計算になります。その後の辰牙がちらっと出てきましたが、相変わらずカッコ良い!鳳コスメティックジャパンが日本一の化粧品メーカーであることも変わっておらず、辰牙が社長としてうまくやっているようで安心。辰牙の秘書・鶴間さんも出てきましたが、こちらは変わってない!
 そして、珠姫ですが、鳳グループ創立記念パーティーに出席した皐姫の証言により、現在妊娠していることが判明!まだまだ夫婦仲はラブラブのようで安心いたしました。
 私も気になっていたのが、皐姫にキョウダイはいるのかということ。本編では語れていませんが、あとがきのなかで悠妃りゅう先生が辰牙たち鳳ファミリーを紹介しています。幸せそうな鳳ファミリーでしたよ♪それは読んでくれた人のみが知ることができる特典だと思うので、気になる人はコミックスをチェックして下さいませ。


●「花嫁さまは16歳」スピンオフ表題作ほか、読み切り多数収録