その男、ワガママにつき
 シリーズ…あすかコミックス
 著者…酒井美羽
 出版社…角川書店
 新書判…全10巻
 新装版…全5巻
 文庫判…全6巻(集英社文庫より出版)
 掲載誌…ASUKA
 参考リンク…角川書店




■ ストーリー ■
 ごくごくフツーの高校生・田辺椎汝は、ある日、物理教師の宇野誠が学校には内緒でクラブを経営していると知る。秘密を守るかわりに先生と付き合いたいと交換条件を出し、二人は恋人同士に。でも、椎汝は先生のワガママに振り回されて…


■ 総評 ■  ★★★☆☆

 タイトルが「その男、ワガママにつき」とあるように先生のキャラクターが強烈で、ヒロインに負けないくらいの存在感があってよかったです。時々相手役の先生の印象が薄くなってしまう場合もあるのですが、この作品は椎汝も先生もうまくバランスがとれて主役二人の絡みが面白かったです。
 前半いい味を出していた大熊杏奈に後半も前半のような活躍があっても面白かった気がしますが、後半は二人の愛の物語に集中してしまった感じもあったので仕方ないかな。

 全体的にエッチ系な感じというか、性に関する内容だったりで若者が興味を示しそうな題材で、ハレンチ中心な漫画は個人的にはあまり好きではありません。ただ違うのは、某社のやりたい放題ハレンチな漫画で作者の自己満足では終わらずに、読者にしっかりとメッセージを残しているような内容だったことは大変よろしかったです。そうやって筆者によってカバーされていると作品の質というのも変わってくると思います。

 先生・生徒モノということですが、先生が二重人格だったり、青年実業家という裏の顔も同じくらいに物語の中で出てくるので、あまり先生・生徒ものを見ているドキドキ感はなくて、(先生に限定されない)社会人と女子高生の恋愛…という雰囲気の方が強く残りました。でも、決してそれが不満とかそういうことではなくて、面白さでカバーされていたし、先生・生徒モノでは少し大人めな感じで、少し違った雰囲気があって定番にならないところがよいところでもあったと思います。



■ 登場人物 ■
 
田辺椎汝
 ごくごくフツーの高校2年生。ある日、宇野先生がクラブ経営者だと知る。
 
宇野 誠
 物理教師。裏の顔はクラブ経営者。
 
大熊杏奈
 椎汝のクラスメイト。学級委員。
 
オグ
 椎汝の友人。
 
トモ
 椎汝の友人。


※ここより下はネタバレとなっています。了承したうえでお読みください。


 1巻

 [ 第1話・二つの顔をもつ男の巻 ]

 普段は堅物そうな高校教諭で、私生活ではクラブのオーナーという裏の顔があるという先生の設定が面白くていいですね。25歳で道楽としてクラブの経営者なんてリッチすぎるだろ。

 主人公の椎汝(シーナ)が先生の経営するクラブに行って、宇野先生とオーナーが同一人物であると知ります。シーナから先生の秘密を守る代わりに自分と付き合ってほしいというおどしのような条件にあんまり悩まず条件のんでしまった宇野先生。なんとなく、立場を利用して付き合うことになったというか、成り行きでそうなってしまった感じ。お互い好きというような甘くベタベタな典型的な少女漫画の展開とは違って、少し大人を意識した感じで、この先、先生・生徒ものの王道な展開にはならないんじゃないかなと思いますがどうなるでしょうか。

 シーナの通う高校は生徒と先生が結婚するのが伝統になっているという話が、この作品が先生と生徒ものであることをさらに印象付け、シーナと宇野先生の物語もここから始まるんだろうなと感じられます。



 [ 第2話・ばれちゃった!?の巻 ]

 宇野先生ずいぶんと裏の顔が派手ですねー。オールバックでサングラス、高級車を乗り回す。女性関係も女学生から人妻までモノにした女は数知れず…って、学生もいたのか。本気じゃないにしても学生相手ってことはシーナもありなんだね。実際、シーナは遊びで付き合ってる程度の認識だけど、先生は前から気になっていたという、先生はかわいけりゃだれでもいいのか。(笑) 純情青年の先生バージョンは仮の姿で、裏の顔が本来の宇野誠ということか。白衣の下に派手なオーナー用のスーツ着てたり、堂々と運転中にキスだとか、シーナがオーナーの時の自分と付き合ってることを知られ学校にわざわざ交際を認めてもらおうと言いに行って、やることも派手で、インパクト大です。
 とりあえず権力使って二人の関係をバレないように穏便に(?)済まされました。実際には教師が校長の弱みを握って騒ぎを穏便に済ませようなんてありえない話だけど、宇野先生の言動の派手さから取った行動で不自然さがないのがまたよろしいです。


 2巻

 [ 第3話・結婚しようよの巻 ]

 シーナと宇野先生の関係が早くもばれてしまいました。まだ始ってすぐなので意外でしたが、そのきっかけがその先のストーリーを繋いでいってくれるのでこういう展開もありなんだなと。
 たしかに教師が生徒をたぶらかすなんて問題ですが、娘を軟禁させて登校禁止にさせるなんて、シーナパパは娘離れができていなのかな。もちろん先生との交際にはパパは反対(ママはどっち?)なわけで、だったら結婚しようよという話になるわけですが、いざそういうことになると戸惑うシーナ。シーナは恋愛にうぶなうえ、常に女性の気配がする宇野先生が信用できなくて、「けっこん」と聞いて「血痕」とか落語のような洒落で「けっこん」の意味がわかんなくなるあたりとかシーナの戸惑いがおもしろおかしく表現されていました。でも、プロポーズなんて本当に好きでもなきゃしないだろうから、宇野先生って意外と本気なのかもしれない。シーナを見て教師でありながら子供のシーナに欲情剥きだしたりして。でも、やっぱり女を部屋に連れ込んだりするところは信用できないですね。(笑)

 結局、先生の無神経さからシーナはプロポーズを断るんだけど、その前に最後のデートで立場が逆転して「その女、ワガママにつき」な感じになっていたのに、やっぱり最終的には宇野先生のワガママになってしまい、おまけに婚約指輪に強力接着剤がついていて抜けなくなる、強引な婚約成立、という先生の勝手ぶりが面白くてエンディングにふさわしいオチ(?)でした。

 それにしても、宇野先生、店を3軒、マンション3軒、貸ビル1件所持、おまけに週末はリッチなマンションでバスローブ姿… やっぱりド派手な生活で金持ちのボンボンなんだな。シーナが先生と結婚すれば生活には不自由しなそうです。

 山口百恵の歌が出てきたり、高学歴・高収入・高身長という3高男がモテるという話に古さを感じずにはいられませんでした。(笑) でも、早期に結婚して子供をたくさん作る、女が家庭を守るというのはもっともっと昔の話で、今もこの作品が連載されていた時も、結婚が女の幸せではない、結婚しない女性が増えているというのは同じかもしれないですね。今は女も働く時代です。


 3巻

 [ 第4話・強敵現わる!?の巻 ]

 強敵(ライバル)出現ということで、単純な思考で先生・生徒モノの“強敵”といえば元カノだと思いましたが、まさか先生のお母さんだったなんて! しかも、生徒と先生の恋愛がタブーで別れさせるとかいうことじゃなくて、先生のお母さんが実はレズビアンで変な女性という衝撃的な事実でした。
 宇野先生が他の人と見合いするからプロポーズのことはチャラにするという相変わらず勝手な男で、納得できないシーナが宇野先生の実家を訪ねていくと、愛人がたくさんいるお祖父さんに変な母親… そしてあの宇野先生ですから。さすがの宇野先生も変人家族には手をやいているようで、宇野家の人間はとんでもない人たちでした。(笑)
 見合いの相手がクラス委員の大熊杏奈というのは… 先生が杏奈と消えたときにシーナはショック受けてましたが、さすがに生徒と見合いはしないだろうと。だからといって、まさか木に縛り付けてくるとは思いませんでしたが。(笑) もちろん最後は先生の見合いの話はどっかへいっちゃいました。
 それにしても、宇野先生って本物の金持ちだったんですねー。

 シーナと先生の関係もちょっとずつ進んでいるようないないような… キスはもう何度もしてるけど、その先は先生だけの欲望が強くて。シーナが媚薬入りのチョコレート食べて(食べさせられた)大胆になってるけど、不本意なことはしたくないからと理性と必死にたたかう先生が面白かったです。
 学校で手をつないでいるところを大熊杏奈に見られた上に、見合いの時に先生の家にシーナもいて、杏奈が二人の関係にさらに疑惑を持つことになるんじゃないかなと。


 4巻

 [ 第4話・続・強敵現わる!?の巻 ]

 なんとも感想が書きづらい回…。大人の関係を題材とした話です。先生はシーナとの情事はいつでも来いという感じなんですが、経験のないシーナはいろいろこだわったり初めてという緊張がいろいろあってなかなか前へ進みません。シーナの大胆な格好に鼻血出して、先生そろそろ限界かな… 

 先生とシーナの関係に感づいている大熊杏奈に校長先生。さらには同僚の先生に二人がキスしてるところを見られてしまい、二人の関係が少しずつバレる気配でありながらまだ騒がれてないけど大丈夫だろうか…



 [ 第5話・浮気しちゃうも〜んの巻 ]

 非常勤講師としてやってきた江口丈二先生登場〜。宇野先生と違って女ゴコロに理解ある人だけどたらしっぽくてナルシストのような匂いがします。作中で今まで校内人気一位だった宇野先生をおさえて人気ナンバーワンの座につきました。実際にはああいう先生ってもてるのでしょうか。漫画の世界だからあり得る人物だけど、現実にはチャラ男みたいな先生はいませんから。

 手編みのマフラー嫌いといっておきながらシーナが江口先生にあげるとわかり機嫌を損ねる、裏の顔は不良で遊び人だけど学校では真面目な先生に見られる、生徒には個人的な感情は持たないようにしていると嘘そつく、など宇野先生って大嘘つきなうえに勝手ワガママ、他にも突然凶暴になったり、ある意味二重人格で振り回されるシーナがお気の毒さまです。


 5巻

 [ 第5話・続・浮気しちゃうも〜んの巻 ]

 江口先生が椎汝にアプローチしてきていることで宇野先生とケンカになり、腹いせ?に江口先生とデートすることに。自分の女に手を出すなくらい言ってほしいのに先生はそんな恥ずかしいセリフは言えないといったのものの、実際に椎汝のデート現場を目撃してしっかり言ってくれました。ホント素直じゃないですね。
 自分は女の浮気は一度でも許せないくせに、自分自身は女をとっかえひっかえ…。しかもそれを認めて開き直り。男の浮気と女の浮気は質が違うという宇野先生。一体何が違うのか意味解らない発言で相変わらずの勝手ワガママぶりでした。

 一応悪役の役割の大熊杏奈。だけど優等生らしからぬ不気味な裏い声を発し、クラス委員なのにちょっと変わった人間性で、悪役なのか変人なのか彼女のキャラクター性が謎…

 おぐとトモが椎汝の秘密を知ったけど、宇野先生とクラブオーナーを二股かけているという微妙に違った情報で、バレそうでバレない展開にホッとしたり。

 必死に隠していたキスマークを見られてしまい、宇野先生のキスマークが打撲のようなあとだなんて先生のキスが汚らしいイメージになってしまうよ… 思わず宇野先生がつけたキスマークだと口が滑ってしまい、以前も男性モノ下着履いていたところを見られたり、シーナのおっちょこちょいが先生との関係バレやしないかって不安ですね…


 6巻

 [ 第6話・危険な夏休みの巻 ]

 シーナがおぐやトモに誘われてバイトを始めようと考えるんだけど、それを知った宇野先生は「お前は俺の女だ!いつ呼び出せれてもいいように家で待ってろ!」という横暴男。やらせてくれたら小遣いやるだとか、カードを使っていいからバイトはやめろだとか、相変わらずの勝手ぶりに振り回される椎汝がお気の毒なことだけど、先生の横暴ぶりを表す顔アップのカットが面白いです。
 しかもバイト先の海の家が先生の経営するお店で、やっぱり内緒にしていたことが見つかってケンカになったり、椎汝がバイト先で知り合った子の男関係の人とヨットに乗りに行ったらそこは逗子のマリーナでやっぱり先生の会ってしまうという、どこまでも椎汝は先生に見つかってしまう運命なんだろうか…と思ったり。

 自己中男で恥ずかしいセリフなんか言いたくないと思っているけど、椎汝が他の男に声かけられたりナンパされそうになってじろっと睨んで威嚇したり…。遊び人男でもやっぱりそういう彼女に対する他の男へのヤキモチだとかは結局一緒で、ケンカしてもいざとなれば必ず助けに現われる、他の先生・生徒モノの先生キャラと変わらないフツーの男性です。

 先生、だんだん理性が保てなくなってきて、キスだけでメラメラきて椎汝に襲いかかったり、しかも彼女が生理の日でも構わないだとかケダモノになってちょっと怖いところも…(笑)

 前巻ラストで江口先生と大熊杏奈があやしかったですが、いつの間にか二人ができてしまっていた…! 夏休みに椎汝のバイト先に二人揃って現われてました。どっちも少し変っている人間なのでそのツーショットは濃いですね。

 登校日に先生がイライラして課題未提出者には家まで帰って持ってこさせてましたが、それはもちろん椎汝に手をやいているのが原因なわけですが、今回の宇野先生のように生徒に当たってあんなことすることまではないにせよ、登校日って意外とうちの高校も厳しかったです。髪を茶髪にしてきたら直して来いと言われて帰らされたり、身装(身だしなみ、服装)検査も通常よりキツかったのを憶えています。だから、登校日前日に一生懸命黒髪に戻した、なんていう話をよく聞いたものです。


 7巻

 [ 第7話・性教育講座の巻 ]

 性教育の公開授業をすることになった宇野先生。どうも他の先生が嫌がって押しつけられたみたいだけど、フツーは保健の先生とかがするのが妥当だと思いますが。
 不純異性行為で謹慎になった生徒の友人が仇を取るために授業をめちゃくちゃにしようと考え、ゴム(コ●ド●ム)の使い方を教えてほしいと言ってきますが、宇野先生は動じることなくしれっと対応してしまい、さすが遊んだ女は数知れずの宇野先生、使い方になれているのか…(笑)
 それにしても、いまどき不純異性行為で謹慎処分だなんて厳しいな。この作品が執筆されたのが1990年代前半で、そのひとつ先の世代の人間としてはあまり考えられないです。ですが、男女交際禁止という学校が出てくるのは少女漫画によくみられる設定です。

 授業内容にしてもゴムの使い方にしてもけっこう具体的で生々しかったです。ですが、最後に宇野先生が言った、性行為というものはお互いの合意がなければ成立しない、強姦はしてはならないこと、ただ作品のネタのためにやるのではなく、しっかり主題をはっきりさせていて不快にならない配慮でした。
 なんだけど、それはたてまえだ!と無理やり椎汝に襲いかかり、やっぱりこっちの方が宇野先生とらしいかもと思います。



 [ 第8話・怒りの一発!!の巻 ]

 宇野先生の愛情に確信が持てなくて二人がケンカになってしまい、ついに椎汝に手をあげてしまった宇野先生。いや〜、女性に手をあげるはさすがにまずいでしょ。で、こじれた関係が続いたまま、久々に会ったら先生が別れ話。しかも、翌日学校に行ったら先生が一カ月ほどアメリカへ行ってしまうという、なんだか二人の関係に暗雲が立ち込めてきました。今までの展開だとラストには先生が折れて仲直りパターンだけど、二人が別れるというラストで次号に続きます。今回は先生謝る気ないみたいで本気なのか!?
 先生に殴られて鼻血出した椎汝。前回もゴム見て鼻血出すなど、少女マンガなのにあんなに鼻血を、しかも面白おかしく使っている…

 先生の一方的な別れ話に、クラブの記念パーティに椎汝を招待したものの昔の女が来て話がややこしくなるから帰れだの、ここでも先生の勝手ぶりが。宇野先生女性関係が派手すぎて被害受ける椎汝がお気の毒。先生のこと信じることができない椎汝の気持ちもわかる気がします。

 先生と別れ話をした後、中学のクラス会に行った椎汝。初恋の男性・鮎川くんと再会。しかも、彼も椎汝に気があるらしくて実は両想いだったということですが、このエピソードがその後にかかわってくるとすればこれまたややこしくなりそうです。どうなることやら。


 8巻

 [ 第9話・ああ、とうとう…の巻 ]

 鮎川くん、やはり続投。しかも、椎汝が彼と過ちを犯してしまい、アメリカ研修から帰ってきた宇野先生に現場を見られてしまいます。二人は別れたんだから先生には関係ないじゃないかと思うところですが、先生ったら「俺が本気でそう思わなきゃ別れたことにはならない…」だなんてまた自己中心的なこと言ってる… そんなのわかんないよ。(笑)

 で、その後椎汝が謝りに行って無事に仲直りした二人です。そして、ついに二人がやっと結ばれました。途中未遂の展開も多々あり、すったもんだで長かったですが、とりあえず読者は二人の進展にひと安心でしょう。これまたけっこうリアルな描写でした。
 しかもそのために学校ふけて、その様子をおぐとトモに見られて、先生がついに二人の関係をばらしてしまいましたが、「他言無用」と鋭いまなざしでけん制。あの眼は怖かった…


 9巻

 [ 第10話・AIDS危機の巻 ]

 宇野先生がエイズに感染しているかもしれない、という話。椎汝がエイズの検査受けてと頼んでも、たとえ世界人類がエイズで滅びようと、俺だけは絶対にエイズにならない、というわけもない根拠で自信満々なところが相変わらず。その後、先生が過去に付き合った女性がエイズの陽性反応がでて結局検査受けに行くけど陰性でホッと。

 エイズ、一時期すごく話題になってましたね。1998年「神様、もう少しだけ」というドラマで深田恭子がHIV(エイズとは少し違う)に感染する女子高生を演じて話題になりました。こういうデリケートな問題は正しく理解して上手に付き合っていきたいものです。



 [ 第11話・デートクラブ入会の巻 ]

 椎汝の学校の女生徒がデートクラブに出入りしているらしいということで、先生に頼まれて探りを入れた椎汝がデートクラブに行ってしまいました。もちろん彼氏持ちの椎汝がそんなことするのはまずいですが、宇野先生それを知って椎汝に烈火のごとく怒ると思ったらそうでもなくて。でも、やはりそれでは終わらないのが先生で、椿誠の方でデートクラブ潜入して経営者ボコボコにしていました。
 たしかにサングラス掛けると宇野先生ってヤクザの風貌になる… おかげで椎汝がヤクザの愛人という噂が広がってしまい、先生と付き合っていて椎汝には他にも変な噂が付きまとうんじゃないかって心配です。(笑)

 デートクラブは入ったことがないのでわかりませんが、援助交際みたいなものでしょうか? ああいうところに踏み込むと引き返せない暗い迷宮と言っていましたが、好奇心や興味本位だけで入ってしまい、後悔して逃げたくても逃げれないという人もいるんじゃないかと思います。こういうことが簡単に許される社会にも問題があるのかも…



 [ 第12話・アレの形って…!?の巻 ]

 また書きづらいな… 一言でいえば性器の話です。先生との情事で初めて見てしまった椎汝がびっくりして動揺するあたりが、まだまだうぶなんだなと。第9話・10話、12話あたりはテーマが一連しています。自分や相手の体を知ること、性行為の意味を正しく理解することなど、伝えたいことが明確になっています。

 彼女が彼氏の合鍵を貰うのは少女漫画の定番ですが、警戒して素直に喜ばないのは相手が宇野先生だからかな。


 10巻

 [ 第13話・ハッピー・フィナーレの巻 ]

 おっと〜。まさかのまさかで椎汝が妊娠。先生の性格から子供はおろせとか言われるんじゃないかって心配し情緒不安定になる椎汝ですが、そんな心配は取り越し苦労でした。少女マンガのああいう子供嫌いそうなキャラほど実は子供ができたことを喜んでくれて、いかにも子供好きで優しそうな男性ほど弱腰になったり戸惑ったりするものです。
 戸惑う椎汝は先生にゴムをつけていたか確認しますが、作中の説明でもあったように100%の避妊法というのはないし、本来性的行為というのは子孫を残すためにするものであって出来て当然。夫婦ならなんの問題もないわけです。しかし、それが結婚前の男女においては気をつけなければなりません。先生も言ってましたが、妊娠しないためには「しないこと」が一番でしょう。もし椎汝くらいの歳の子でこの作品を読んでいたら、よく考えるけっかになってくれればいいなと思います。

 私はまだ出産の経験がないのでわかりませんが、妊婦の精神的な安定には気持ちの問題や周りのサポートが必要なんだなと。とくに未婚女性の妊娠は環境が不安定な状態ということからさらにストレスをためるということで、相手の男性がしっかりしなくてはいけないことなんだそうで、宇野先生は過去を清算して椎汝と生まれてくる子供のために生きていくことを誓います。椿家と決別宣言、それは経営しているクラブも手放すということで、ちょっと寂しい気もしますが、愛する女性のために真面目に生きていこうとする姿を見て、最終巻にしてはじめて宇野先生に本当の意味での男を見たような気がします。
 それに宇野先生はプレイボーイなので、いくら椎汝と付き合っているとはいえ、私自身も本気で椎汝のこと大切にしているのかと思うところもありましたが、子供ができて椎汝のためにたくさんの犠牲を払う姿を見て、ああいう簡単にできることではないことをしてしまって先生の気持ちは固いなと思いました。

 椎汝は無事に高校を卒業した後出産。最後は二人の結婚式で締めるというとてもさわやかな少女マンガらしいハッピーエンドでした。でも、上記で先生のこと男らしいと書きましたが、先生が父親をやっている姿は想像できず、下世話なことですが、その後の二人を想像すると先生は浮気するんじゃないかって心配してしまいます。(笑) まぁ、でもとりあえず二人が幸せそうでよかったです。



 ここから下は結婚した椎汝と宇野先生、そして二人のベイビーをプラスしたその後のストーリーです。


 その男、ワガママにつき +

 結婚した椎汝と宇野先生、生まれた子供のその後のストーリー第1弾! 椎汝が若い男にナンパされる…という冒頭から始まった続編ですが、高校卒業したばかりの女性というのはこれからが遊ぶ時ですが、18歳で一児の母になってしまった椎汝にとってはすでに生涯の伴侶がいるわけで、「ああ、二人は結婚したんだな」って思わせる入り口でした。

 二人の子供・奈汝ちゃんが誕生して子育てに奮闘する椎汝ですが、先生は一応育児に協力するものの、椎汝に頼まれて子供をあやすだけで、基本的には椎汝が担当。自分は働いて家族を養ってやってるんだからと偉そうな態度で、家事と育児は椎汝の役割だ!なんて、横暴なところは結婚しても変わっていなくて、この話は宇野先生のそういうところも魅力のひとつだからちょっと安心しました。椎汝の「女を泣かすのは得意なんだから。」のセリフに笑えた。(笑)

 で、続編でどんな物語が見られるかと思ったら、業界モノになるのか、宇野先生が映画出演することになったようで、また椎汝は街で買い物中にスカウトされてCFに出る…という、お互い業界人になってしまうのか。
 椎汝のお母さんの勧めで映画に出てみることになったわけだけど、それが殺し屋の役というのがイメージに合いすぎて笑える… 鋭い目つき、サングラス、そして自前のド派手衣装。演技しなくても素で出来るという、まさに先生のために用意されたような役。裏の顔がここで役に立つとは!
 一方の椎汝は入浴剤のCMに出ることになって、そんなの出たら宇野先生に「即離婚!」(相変わらずの横暴ぶり!)なんて言われていたけど、結局断り切れずに出ることになって、先生にバレてやばい雰囲気になったと思ったら、なんと本当に離婚!たしかに相変わらずの勝手な発言だけど、まだ芸能人でもないのに人妻が世間に半裸でも裸をさらすことは夫ととしては黙っていられないのは当然と言えば当然なわけで、ここは先生怒っても仕方ないところはあるかも…なんて、宇野先生の意見に肩持っている自分にもちょっとオドロキ。(笑)

 でも結局、そのCM見たらやっぱり椎汝に会いたくなって再入籍しようと思ったら椎汝は離婚したばかりだからできない… そうか、女性は離婚から半年たたないと再婚できないんだっけね。たしか妊娠とかそういう問題だったか。
 本当は再婚したくてもできない状態の仲、もとは夫婦なのに、二人でいるところを目撃されてしまって、椿誠(先生はこっちの名前を使ってるんだね。)と田辺椎汝の熱愛!なんていう記事が出てしまったもんだからさぁ大変!? ていう感じで次巻へ続きます。


 その男、ワガママにつき+α 上

 誠が映画デビューして瞬く間に人気俳優に。しかも、今度出演する映画は昼間は教師で夜は裏稼業…という昔の先生そのままで笑ってしまいます。そして、仕事キャンセルして帰ったり、でかい態度で新進俳優なのにすでに大スター気取り!勝手なところは私生活だけではありませんでしたー。(笑) 椎汝も巨乳のママドルとして人気で、ふたりはすっかり芸能人しちゃってます。椎汝が出演する深夜のバラエティ番組、番組に若い女の子が数人…昔放送されていた某深夜番組を思い出しますねー。
 私生活では相変わらず育児に奮闘する椎汝だけど、先生は「俺は映画スターだ。そんなことできるか。」とか、椎汝のタレント業には今も反対で足を洗わないと再入籍しないだとか、こちらの勝手ぶりは絶好調です。

 もちろん、二人の恋愛物語でもありますから、当然恋敵が出てくるわけで、人気タレントや歌手が椎汝に近づいてきます。同情したり、自分だけ好きなことする先生に腹が立って他の男とキスしちゃったり… 昔は遊び人だった宇野先生は椎汝のためにすべてをすてたのに、今では椎汝の方が昔の先生みたく派手になっているような気がしますね。
 椎汝をナンパする男の携帯電話を壊したり、椎汝が出演するTVを見るのを嫌がったり、椎汝に近づいてくる男には鋭い目つきで容赦なく威嚇していく先生。まるで獣みたいです。コワい… 先生、嫉妬してるのか。椎汝を他の男と接触させるのがイヤなんでしょうかね。おそらく今は椎汝一筋なはずなので、自分の女に手を出すやつは許さん!ぐらいの気持ちなんだと思います。

 とはいえ、タレント業に反対して離婚・別居しているだけなので、二人で会えばラブラブ。一線を越えて以来、椎汝にもう迷いはないわかで大人な時間を堪能する二人で、やっぱりこういうハレンチなシーンというのは、とくにこの二人は大人の雰囲気があるのでドキドキします。


 その男、ワガママにつき+α 下

 椎汝も誠も人気上昇中で、しかも今度は二人が映画で共演!椎汝は初めての演技に失敗続きだけど、誠はすっかり俳優らしくなって、先生という影は本当になくなってますね。二人の映画共演は京監督の陰謀もあり、なんと変更された台本には二人のベッドシーンが…!これは読んでる私もオドロキだったわ。演技なのでカタチだけでいいものの、今は離婚していてもまだ愛情はあるわけで、スタッフがいるのに、カメラが回っているのに本番をやってしまった…という、すごい展開にに。\(◎o◎)/! ここまでできるのは架空(漫画)の世界だからかもしれません。実際には既婚者の俳優がベッドシーンを演じることがあっても、絶対に身うちはないでしょう。しかも、その後、椎汝が電撃引退したうえ、二人目の子を妊娠で、それがベッドシーンの時の可能性が…という、どこまでも漫画らしい展開です。

 その前に誠が別の女優さんとのベッドシーンがあって、現場にいた椎汝が耐えられなくなるという展開がありましたが、こういうのって実際の私たちでも同じかな。好きな俳優さん(とくに異性)がベッドシーンあるとショックだったりしませんか?で、しかも椎汝は生でそれを見てしまうという…、読んでいて椎汝が気の毒でした。

 前巻で他の男とキスしたことがばれて、誠と冷え切った関係だったけど、この映画がきっかになんとかヨリが戻って安心です。入籍したことを映画の舞台挨拶で発表するという、二人の関係が公になってしまって、物語としては一段落かなと思います。


 その男、ワガママにつき∞

 [ 昴誕生篇 ]

 椎汝と誠がヨリを戻し、二人は豪邸にお引っ越し。再びラブラブモードなんだけど、誠の自己中心的なところは父親になっても変わってなくて、「出産は女の仕事だ!俺が強力するのは子作りだけだ!」なんて言ってます。誠が言うと笑いになるし、漫画の世界だから大丈夫だけど、こんな発言は女性差別で問題になるから、実際の亭主が誠のような人だったらイヤですね…
 二人目は路上出産!医療、産婦人科モノのドラマに出てきそうな設定。出産に立ち会うのは嫌と言っていたくせに、路上出産でその場にいたために立ち会うことになってしまったという、どこまでもおどろきの展開になってます。これで安心して3人目を仕込める…と誠。一体どこまでやるつもりだろう…

 俳優業も順調なんだけど、誠がケチつけて降ろされた脚本家に嵌められて、誠が覚醒剤取締法違反で逮捕… もちろん潔白なんだけど薬物関係で警察沙汰になってしまったので誠の俳優生命の危機? 現実の世界でも芸能人の薬物問題が後を絶たず問題になってます。薬物関係はイメージダウンは避けられず影響もありますからね。昴誕生篇では誠の逮捕は証拠不十分で釈放になってそのまま椎汝の出産になってしまったので、今後の展開があればどうなるか気になるところです。



 [ 教師篇1 ]

 誠が真面目男に!先生バージョンの口調だし、真面目に働いて家族を養って… フツーすぎて気持ち悪い…(笑) 張り込みする記者を丁寧に追い払っているんだけど、埋めるだとかモノを投げつけるという、精神だけはかわっていませんでした。(笑) ボロアパートというのも似合ってませんね。誠はバスローブ来て大豪邸にリッチな生活だよね。
 芸能界に嫌気がさして高校教師に復帰しようと就職活動。久しぶりに登場の大熊杏奈の斡旋で早くも採用されますが、いつのまにか杏奈の婚約者になっていた江口先生が杏奈は宇野先生を狙っていると椎汝に言ってしまい、椎汝は誠の学校に制服姿で乗り込みます。そこまではいいんだけど、その先が… 椎汝の制服姿を見てスイッチが入ってしまった宇野先生が場所も考えずに椎汝を犯して、学校の先生にバレてクビになるという、教師のくせに我慢ができず、いきすぎたところがこの漫画は面白いです。ホント、これじゃただの淫行教師だよな…



 [ 教師篇2 ]

 前の学校1か月でクビになったけど教師は続けるようで、新しくやってきたのは問題児クラスの担任というワケあり学校。あっさり決まったことに疑いを持った伏線でありがちな展開ですねー。でも、宇野先生は教師バージョンは頼りなさそうに見えるけど、真の姿は同類(?)なのでビビるどころが、頭を締めて威圧したり、不良生徒の対応をして「俺の辞書に手加減という文字はない。」とか、これこそ本当の宇野誠かな。
 問題児たちに犯されそうになった椎汝を助けたのはいいとしても、やっぱり最後には人目を気にせずラブラブする姿はこの作品のお決まりかな。しかも、ラストで3人目の子どもを妊娠したかもしれない…という、どこまでもエッチ路線を同時に突き進むことを忘れないのもこの漫画らしさかなと思います。



 [ 高校篇 ]

 ∞ラストは、本編8巻で椎汝がバージンブレイクした直後のストーリー。久々に教師と生徒の二人だし、先生バージョンで勝手ぶりの宇野誠が見れて嬉しいです。やはり宇野誠は真面目な教師キャラに横暴男が面白くていいですね。
 誠のクラブにライバル店出現で、椎汝が誠の勝手さに腹が立ってライバルのクラブに行くんだけど、強姦されている女性とか、エクスタシーというドラックを売っていたり… 危険だから出入りするなと言われていたのに、売人から薬を買って自分たちのプレイでも使用しようとする宇野先生ってやっぱりケダモノかも…