すき・すき・だいすきっ
 シリーズ…ちゃおコミックス
 著者…中原 杏
 出版社…小学館
 巻数…全1巻
 掲載誌…ちゃお
 参考リンク…小学館コミック




■ ストーリー ■
 父親の転勤でドイツに行くことになった相原つぐみ。大好きな担任の西崎先生と離れたくないつぐみは、先生と結婚して日本に残ろうとしますが…


■ 総評 ■  ★★☆☆☆

 一応連載になるんだろうけど、ひとつの物語を短編に3部構成している感じなので短編集を読むような感覚。ヒロインと相手役の先生だけで話が進みます。もちろん脇役もいるんだけど本当に脇役にすぎず二人だけの物語という雰囲気。子供向けのちゃおが連載誌なのでストーリーは難しくないですが、長期連載のような深い内容を求める人には物足りないかもしれません。

 主人公がおバカキャラで、作品の雰囲気もコメディで、バカバカしてくだらないんだけど、そこがこの漫画はいいですね。明るくテンポ良く進むので楽しく読めます。この作品に質を求めたり真面目に評価しなくてもいいと思います。軽いノリで楽しく読めればそれでいいかなと。



■ 登場人物 ■
 
相原つぐみ
 高校1年生。おバカキャラの夢見る少女。担任の先生のことが好き。
 
西崎拓人
 つぐみの担任教師。カッコよくて生徒から人気がある。


 2002年6月26日 発売

 主人公・つぐみのハチャメチャな感じが笑えますねー。担任の拓人先生が大好きで、お父さんのドイツ転勤が決まって、先生と会えなくなるのが嫌で日本に残るために先生と結婚しようと考える… 先生への求愛の仕方が、先生のお見合い写真を相手の女性から自分の写真にすり替えて、デート中どさくさにまぎれて婚姻届に先生の署名と押印をさせようと画策する…、昼ドラに出てきそうなシリアスで嫌味なような展開を、コメディ風味な展開にしてしまうのがすごいなと。でも、つぐみ本人は決しておふざけしているわけではなくて必死になってる。そんなバカっぽい展開とは裏腹に主人公が本気なところのバランスが絶妙で面白いです。
 最初は「生徒と見合いなんかできるか!」と呆れていた先生もたいして時間かかることなく「お前みたいな困った女オレが嫁さんにしてやるしかないだろ。」と簡単に結婚を決意し、つぐみのパパもまたあっさり結婚をOKするという軽いノリで、作品自体も明るくコメディっぽい雰囲気なのでグダグダした展開がなくてテンポよく進んで掴みはまぁまぁいいかなと思います。



 先生とのキスを夢見るつぐみは、テレビの前でキスする新婚夫婦を見て自分たちもと妄想を膨らませ、先生にキスを迫ったり、一緒にキスシーンビデオを見て先生の感情を煽ろうとします。ラブラブになりたくて、一緒にお風呂に入ろうとしたり、勝手に先生の携帯からメールを送信して先生の友達を呼んでしまうなど、つぐみの暴走は止まりません…
 16歳になるまで婚姻届を額縁に飾って保管する…というおバカキャラも健在で、つぐみの破天荒さとおバカに振り回される拓人先生がお気の毒さま。(笑) でも、やっぱりつぐみ本人はいたって真面目で、それが可愛いですね。
 ていうか、子供向け漫画に裸エプロンはいいのだろうか…? 露わになっていないのでギリギリセーフかもしれないけど、小学館漫画は他誌でそちらをやってますので、ちゃおはフツーでいいと思いますよ?



 続いてはつぐみの妊娠騒動!吐き気と体のむくみから赤ちゃんが出来たとひとり先走るつぐみ。読者的には「えっ、もう!?」な感じですが、キスしたら子供ができるという案の定つぐみの勘違いが起こした騒動でした。妊娠騒動を軸にしていながら、ウエディングドレスの試着に行ってサイズが合わないだとか、セーターを編もうとしたらふんどしのようになってしまったなど、随所にもつぐみの面白さが散りばめらていて最初から最後まで楽しませてくれます。

 ラストはもちろんつぐみと先生の結婚式。強引に先生に結婚を迫り一方的だったつぐみだけど、本当に結婚となったら自分のしたことをかえりみて不安になって、あれほど大胆だったつぐみがフツーの子らしくて可愛かったです。







ず〜っと すき・すき・だいすきっ
 シリーズ…ちゃおコミックス
 著者…中原 杏
 出版社…小学館
 巻数…全1巻
 掲載誌…ちゃお
 参考リンク…小学館コミック




■ ストーリー ■
 担任の先生と結婚している相原つぐみ。でも、結婚のことはみんなにはナイショ。そんな時、つぐみのことが好きだという男子生徒が寄ってきて…


■ 総評 ■  ★★☆☆☆

 前作では二人が結婚するまでの道のりでしたが、今作は結婚した二人に恋のライバル出現で、二人の絆が試されるストーリー。こちらの方が先生と生徒モノによくある展開かなと思います。

 続編でも作品全体の雰囲気、つぐみの面白さなど変わっておらず、安定したクオリティが保たれていました。続編であまりにも違いすぎる作風にがっかりするパターンってよくありますが、本作は前作同様に楽しむことができます。



■ 登場人物 ■
 
相原つぐみ
 高校生。16歳の誕生日に担任の西崎先生と結婚。タコ料理が得意。
 
西崎拓人
 つぐみの担任教師であり夫でもある。女生徒から人気がある。
 
遠山亮太
 つぐみの高校の隣りの男子高に通っている。つぐみが好き。
 
佐伯あづさ
 つぐみの同級生。拓人先生のことが好き。


 2003年1月25日 発売

 [ も〜っと すき・すき・だいすきっ ]

 結婚した先生とつぐみのお話ということで一応続編になるのかな。先生とやっと結婚できたと思ったら、つぐみのことが好きだという男子生徒が現れてアプローチしてきます。当然ながら先生と結婚していることを公にはできないので、つぐみはどうしていいのか困ってしまいます。やっぱりこういうパターンなんだね。なんだけど、この漫画はそんなシリアスなストーリーも一味つけて面白おかしくコメディぽい展開になってしまうのだからすごい。

 お弁当にタコまるごととか、先生にナイショでデートしようとするのに女の子だからと強調するけどそれって相手は男だと言っているようなもので、つぐみのアホキャラは相変わらず。
 亮太が魚屋でたこを買っているつぐみを見て惚れてしまったという理由も、ヒロインがアホキャラならヒロインを好きになる脇役も脇役で同類なんだなと… 拓人先生が普通のキャラでよかったと思う…



 [ も〜っとも〜っと すき・すき・だいすきっ ]

 お次は、子供が欲しいと願うつぐみちゃん編。拓人先生のお姉さん夫婦に子供ができて、子供が出来たら旦那さんが優しくなったと拓人先生のお姉さんから聞いたつぐみは、自分もラブラブになりたくて先生の子供を作ろうと夢見ます。
 しかし、子供の作り方を好きな人以外の異性に聞いてしまうだとか、短冊に「子供が欲しい」と書いてしまうだとか、つぐみのアホキャラはもちろんなんだけど、必死に子供の作り方を知ろうとするつぐみが無垢でかわいい。
 ラブラブなお姉さん夫婦を見て自分も真似してバカなことするつぐみ、だけど、先生にはバレバレなところとか、この回のエピソードでいちばん笑えたところです。



 [ ず〜っと すき・すき・だいすきっ ]

 二人にとって最大のピンチ! つぐみと先生が一緒にいるところを見られてしまって、先生が好きな女生徒から証拠写真をばらまくと脅しをかけられ、本当に二人のことがばれてしまいます。やはり先生・生徒モノのラストはこういう展開ですね。重大な問題ということでいつもよりは笑いは控えめですが、それでも先生の恥ずかしい写真がばらまかれるという、笑いの要素も配慮された内容で手を抜いていないところがいいですね。

 この回でキーパーソンとなる佐伯あづさ。先生のことが好きで、つぐみと先生との関係を知って振り回すんだけど、フラれて「このロリコン教師!!」とか「私になびかない男は学校から消えろ!!!」とか、先生も言っていたけどすげー女だ。でも、ロリコン教師と言われて反論できなかった拓人先生が哀れなもので、思わず笑ってしまったのでした。(笑)

 先生はつぐみのことがバレてしまったけど、提携校である隣りの男子高に転勤という、完全に学校を去ったり教師辞めるという定番な結末と少し違った終わり方は好感が持てるものでした。