キス
 シリーズ…花とゆめコミックス
 著者…マツモトトモ
 出版社…白泉社
 新書判…全8巻
 発売…1996年〜
 文庫判…全4巻
 発売…2006年〜
 掲載誌…LaLa
 参考リンク…s-book.net Library Service




■ ストーリー ■
 11歳の時からピアノを習い始めた高校生の小川加恵。担当講師の五嶋とケンカばかりしているけれど、レッスンを通じて少しずつ芽生えていく二人の恋。やっと恋人同士になれても相変わらず五嶋は加恵を子供扱いして。クールな五嶋の態度に加恵は不安ばかり…


■ 総評 ■  ★★★★☆

 評判通り面白かったです。先生は先生でもピアノ教室の講師でした。ゴシの鬼畜ぶりはすごかったですね。ゴシ、見た目だけでいえばダントツでかっこいいですが、性格に難あり… でも、素敵です。
 この物語は加恵がイジワルな五嶋に振り回されると思いがちですが、実は五嶋の方が加恵のワガママに振り回されている物語なんじゃないかなと。まぁ、お互い振り回し振り回されているんですけどね。

 タイトルが「キス」ということでやたらキスシーンがでてきます。でも、それがいやらしくなく、美しくてステキ。
 同時に、ピアノ教室が舞台になって、ヒロインもピアノを習ってはいるけれど、加恵がピアノを巧くなることとか、そういう成長じゃなくて、ピアノ教室はあくまでもゴシと加恵をつないでいるにすぎない。でも、物語には様々な楽曲がモチーフになってイメージされています。
 作中で何どもピアノを弾くシーンがでてきましたが、これを静止画だけでは分かりづらいところもあり、音があって動きがあったらもっともっと素敵な作品になっていたに違いないと思ってみたり。アニメになったら面白そうですね。

 全4巻になって発売されている白泉社文庫版には、各巻2〜4Pほど、その後の五嶋先生と加恵の様子が描き下ろされています。幸せそうで何より。4巻のゴシにはびっくりだけども。(笑) その後の二人を知りたい方はぜひ読んでください。10年以上もたっているので多少絵の雰囲気が変わっている気も。ゴシはそんなに変わんないけど、加恵ちゃんの雰囲気が少し違うかな。

 ドラマCDは聴きたいけど聴くのが怖い。ゴシが森川智之さんで、加恵は久川綾さんということで、二人とも知らない声優さんではないし嫌いな声優さんでもないので興味があるのですが、逆にお二人ともアニメでよく声を聞いたことがあるのでイメージが出来上がってしまっています。漫画で読むときにだいたいのキャラクターって自分がイメージする声で読んでいると思います。だからそのイメージが崩れるのがイヤなんだよね… 私が声優さんに疎かったら聴いていたかも。


■ 登場人物 ■
 
小川加恵
 高校2年生。小学生の時からピアノを習っている。
 
五嶋柾裄
 加恵担当のピアノ講師。加恵とはケンカが多い。
 
 柾裄のイトコ。スーパーモデル。
 
五嶋信裄
 柾裄の弟。加恵と同い年で仲が良い。


※ここより下はネタバレとなっています。了承したうえでお読みください。


 1巻  1996年11月5日 発売

 [ ♯0001 ]

 先生は先生でもピアノ教室の講師です。こういうのもいいですねー。で、このピアノ教師・五嶋(通称:ゴシ)がかなりの曲者。性格がひねくれていて、教え子の加恵とはケンカばっかりしてる。でも、ピアノは巧い。こういう見た目はかっこよくて仕事もできるのに、性格に難あり的な男の人、漫画のキャラクターとしてはすごく好きですねー。「あい・ひめ」の高木仁也もこんな感じの人だったかな。ゴシの方がもっとすごいけど…

 ヒロインの加恵ちゃんは、先生のことが好きなんだろうけど、相手にしてもらえない。そんな時、加恵が宣戦布告という名のキスを五嶋にしてしまう。ゴシもこれには困ってしまい、もう加恵を子供扱いできなくなって、宣戦布告に受けて立つ。その前から加恵に対して複雑な心情があったようで、加恵からのキスに少しは自覚したのかな。

 タイトルがキスとあるように、すべてのキスはスタートラインで、ここから加恵とゴシの恋が動き出す。キスを宣戦布告と表現するところ、いつもケンカばかりしている加恵と五嶋の変化した仲を表しているような気がします。ここからきっと恋のバトルじゃないけど、加恵とゴシの恋の闘いがあるんだろうな。



 [ ♯0002 ]

 加恵は周りから子供に見られて、それがショックで私服で教室に来たりする。ゴシが一流ホテルで生演奏するのを見に行きたいのに「子供が来るような場所じゃない。」と相手にされない。少しでも先生の相応しい女の子になろうとしても、結局五嶋から子供扱いされる。それに反抗する加恵がピアノの下に隠れるという、11歳で通い始めた当初の行動と変わっていないところが子供でもあるんだけど、可愛くもありますね。女子高生って心身は大人だんだけど、やることはまだまだ子供です。
 片想いの時より両想いの時の方が不安が大きい。うーん、なかなかスルドイ指摘。両想いになれば抱えることがたくさんある分、失うものもいっぱいある。だからそれに伴って不安もついてくる。この二人の場合は、五嶋くんがもっと素直になってくれたら加恵ちゃんの不安も少しは軽くなるんだろうな。

 加恵が自分の演奏を見学に来ることを頑なに反対していたけど、本当は加恵のことが心配。夜遅くてあぶないし、ナンパもいるし… だけどゴシは素直じゃないから誤解されて加恵が怒って結局ケンカになる。自分で自分の首を絞めるようなもんですね。
 でも、五嶋のキスひとつで天国に行ったような気分になる、機嫌が直るという、ゴシの卑怯な技にかかってしまう加恵ちゃんもまたカワイイ。



 [ ♯0003 ]

 今回は脇役目線で語られる五嶋と加恵の様子。加恵に恋する中山恭一。同じ教室に通っている弟を迎えに来て加恵のことを知り、加恵に近づこうとする。加恵に恋人がいると知って五嶋に対抗意識?ゴシを敵に回したらどうなるんだろう。恐ろしい…
 ゴシが大人の男の人なので中山クンは加恵が遊ばれていると思ったみたいけど、ゴシとケンカした加恵を迎えにきた時に知る、本当は不器用で、クールなおとなのフリをして、言葉の裏に本音を隠す、強情な人だと。店長や内田さんもゴシが素直じゃないことを知っていて、ゴシはこうやって周りに誤解されながらも加恵のことを心配している人だと分かってもらうのかな。損な性分だと言われていたけど、ホントその通りでしょ。もっと素直になったら最初から良い印象を与えているだろうし、容姿はもうカッコよすぎですから。

 加恵ちゃんに、「性格・態度でかくて口が悪い。言うこともせこい。その上、すごい図太くて神経が荒縄でできているような人。」とまで言われてしまった五嶋くん。どんだけ性格悪いんだよー。(笑) タコじじいとタコ先生とまで言っているけど、その言葉を発したり、デートがキャンセルせれて靴を投げて五嶋に当たってしまう加恵ちゃんも負けず劣らずで。ゴシの性格悪いのがうつってきてるんじゃないのかな。


 2巻  1997年9月5日 発売

 [ ♯0004 ]

 加恵がピアノを習い始めた頃、そして五嶋先生との出会いが語られています。加恵とゴシのケンカは今に始まったことではなくて、加恵が通い始めた当初からだったんですねー。しかも、今と変わらぬやりとりでゴシは当時小学生の加恵に容赦なく口撃するし、加恵もゴシに対して反抗的。もうそれを5年もやってるんですこの二人。でも、加恵は先生のピアノを弾く姿とかは好きだったりするところもあるから、ずっとついていけるんだろうな。ちびカエちゃんも可愛かったです。

 ラストにゴシのイトコ・環さん登場。ゴシ同様オーラがある。そしてやっぱりスモーカーのようで、二人並んで見ると威圧感がすごいです。



 [ ♯0005 ]

 ゴシと環さんって似てますね。まず、二人ともアーティスト。ゴシのピアノ演奏にサックスでシット・インする環サン。二人の演奏が周りをひきつける。そして、店長が言っていた見た目と中身が違う血筋というのも言い当て妙だなと。ゴシはカッコよくて繊細なピアノを弾くけれど、性格はかなりひねくれている。環サンもカッコよくて大人な女性の人だけど、実はオヤジっぽい性格。そして、ゴシのことが好きなのかと加恵を押し倒そうとするなど、何を考えているのかわからない部分も持っている。五嶋家と付き合うのも大変そうだな…
 環さんが語っていた昔の五嶋。優等生で賢いというのはわかるんだけど、穏やかとかやさしかったというのは今のゴシでは考えにくいか…?

 ゴシの演奏を聴きに来た加恵が空気に酔ったからと会場を抜け出した理由はとくに語られていなかったけど、ゴシや環サンを見て大人の人だとか、自分はまだまだ子供なのかと実感したところがあったのかな?

 最後に環さんとゴシがキス!?えええーー!??みたいな感じになってますけど、誤解のようです。環さんのすることやっぱりわかりません。



 [ ♯0006 ]

 前回、環さんとゴシが二人でいるところを見て、ヤキモチやいて、せっかく風邪引いて見舞いに来てくれた先生に物騒な態度を取って、加恵ちゃんも先生並みに意地っ張りなところがあるんだろうなと思います。
 素直じゃない五嶋くんですが、風邪引いた加恵をわざわざ見舞ってくれて本当はすごく心配してるし、ちゃんと彼女として見てくれてるのかなって。それに泣かれると弱いとか、加恵のことを意地っ張りでやきもちやきの困った女とか、好きでもないような人にこんな発言はあんまりしないかなと。

 ゴシにキスしちゃった環さんだけど、べつに二人は男女の関係とかそういうことではなくて、大切な人を見つけてしまった五嶋先生がうらやましくて、悪い意味ではなく加恵にちょっかい出して困らせてみたかったという環さんなりの気持ちでした。最後には加恵にキス……という、やはりアメリカ滞在というのが出てる人ですね。

 環さん騒動が収まって、最後はいつもの仲良くケンカしたような加恵と五嶋のやりとり、発表会で加恵の演奏が終わって、舞台裏でこっそりキスする二人のシーンが素敵です。



 [ ♯0007 ]

 物語は4月1日、エイプリルフールにちなんだ話。先生とデートのはずが、ゴシが急に仕事になってしまってドタキャン。それを言いにきた、ゴシの弟・信(裄)くん登場。先生はいないけど、信くんと五嶋宅へ行くことになって、二人でゴシの悪口大会!それですっかり意気投合。(笑) ゴシの愚痴大会とかやったら朝まで続きそうですね。
 ゴシの弱点、朝が弱いこと、猫舌。店長が知ったら喜びそうね。でも、信くんも思ってるみたいだけど、ゴシの最大のウィークポイントは加恵ちゃん。ゴシ本人は強情っぱりで本音をなかなかみせず、先生は自分のことを子供扱いしてるとか思ってる加恵ちゃんだけど、ゴシの心は加恵が思ってるほど穏やかではないのかもしれないですね。

 で、なにがエイプリルフールかっていえば、先生が約束破って仕事に行っちゃったこと自体がウソつきなんだけど、加恵が車に酔ってぐったりしてるとゴシにウソの電話をした信くん、すっかりダマされたゴシ、口紅つけてまた嫌味言われて先生に「嫌い」と言い放ってもそれはウソかと聞かれる加恵。みんながウソついたりつかれたりでなかなか面白かったです。加恵ちゃんはすっかり騙されてかわいそうだけど、最後には先生が帰ってきてくれて報われたかな。ゴシはウソついたから、ウソつかれても仕方ない。(笑) 信くんが二人を会わせてくれるよう計らってくれたんだから、今回ゴシには目を瞑ってもらい信くんに感謝してほしいと思います。



 [ ♯0008 ]

 加恵ちゃんが17歳に。17〜18歳の時って背伸びしたり大人になろうと意識したり、女の子が女性への一歩を踏み出したりするお年頃かなと。加恵ちゃんも香水つけたりピアスしたりしてみる。五嶋先生とは相変わらず。でも、周りからみればゴシと一緒にいても違和感なくなってきたり、加恵は気付いてないけど成長してきている。
 先生の方も、最近大人っぽくなってきた加恵に戸惑い、子供のような無防備さが心配。加恵にナンパした男の人達の前に現れたごしまくん。あれは威嚇でしょうかね。ゴシを敵に回したら怖いな。

 加恵と言い争っても必ず一枚上手だし、加恵に香水をプレゼントとしても10年早いとか相変わらず素直じゃない五嶋くんだけど、時々負けることもあるみたいで、ケンカして機嫌損ねて、その手には乗らないと言ったのに加恵のキスひとつで機嫌が直ってしまうという、ちょっとカワイイ面もあります。

 少女漫画にう○こ発言はいいのか…。タコ先生、たこじじい、う○こじじい。ごしまくんよ、加恵の口が悪くなってくるのはあなたのせいではないでしょうか?



 [ ♯0009 ]

 今度はゴシ視点の話。ゴシが風邪でダウンして、高校生の頃両親が飛行機事故で亡くなった時の悪夢を見る。突然幸せな日常がなくなって、大切なものはいらないと思っていたけど、ゴシは今は加恵ちゃんを大事にしたいと思ってる。突然いなくなる、死んでしまうことを恐れて、救急車のサイレンがな鳴ったことに敏感になったりする。突然加恵がいなくなって不安になる。いつもは口が悪くて性格もゆがんでいるけど、幼いころにはいろいろと辛い経験をしてる。ああいうちょっとクセのあるような人って意外と過去に何かあったりしますよね。たぶん、そういう人って自分を作ることで過去や弱さから身を守ったりする意思が働いているんじゃないかなと思います。
 寝ぼけたのか加恵ちゃんを抱きしてめてしまったゴシ。ああいうところでしか弱くなれない、素直になれないゴシが不憫です。(笑) 弱ったゴシを見るのもいいもんですね。


 3巻  1998年7月4日 発売

 [ ♯0010 ]

 加恵に恋する中山くん再び登場。今度こそは加恵に告白しようと接近。だけど加恵に近づこうとすればごしまくんがそれを許さないわけで、なかなか思うようにいきません。二人は同い年で趣味もあって仲良く話をするけれど、それを聞いたゴシは加恵に注意する。加恵はただの友達としてか思っていなくても、男はいつ狼になるかわからない、そいうことをゴシは心配してるのに加恵は無関心。相手が学生だと同級生とかあぶないですね。余裕そうにみえて実は穏やかではなそうなごしまくんです。
 聞き分けのない加恵に怒ってしまったけど、雨の中傘を加恵に渡して自分はぬれて帰るゴシはやっぱり加恵ちゃんを心配してる。かっこいいなぁー。ケンカしたまま加恵に連絡せず出張に行ってしまうと、やはり加恵の中では不安だらけ。ケンカして自分から謝らなくてもゴシはいつも許してくれるけど、今回はだまってどこかに行っちゃった。心配して迎えにいって加恵ちゃんついに折れるかと思ったら、先生は「この手は使える」と。そんで加恵ちゃん「私からは絶対にあやまらない。」とやっぱり意地っ張り。でも、先生がもう怒ってなくて安心だろうし、ゴシも加恵が迎えにきてくれたことがうれしかったんだろうなと思います。

 中山くん、告白のはずが、加恵が先生のことで泣いてる姿を見て結局言いだせないまま、加恵と先生の仲を取り持ってしまうというハメに。加恵が中山くんを好きというのは友達として。いくら無防備でも加恵は無意識だし、やはりゴシは特別な人なんだろうと思います。



 [ ♯0011 ]

 クリスマスのプレゼントに日本酒をプレゼントしようとした加恵。だけど、先生が女性に囲まれてるのを見てヤキモチやいて、結局信くんとふたりでヤケ酒… 帰って来たゴシが信くんに問い詰めると加恵が自分のために買ったと知る。「コイツには振り回される…」とか言っておいて、しっかり加恵を抱いて帰るゴシ。ホント、加恵のこととなると支離滅裂しちゃってるのが微笑ましいね。

 クリスマスの日、先生はホテルのピアノを弾くお仕事。思い出して弾いたのかは知らないけれど、加恵が聞きたがっていた曲をみんなの前で弾いてしまうとはカッコイイ男やのう。それですっかり上機嫌になってしまう加恵。ゴシは加恵の喜び方をしっかりわかってる。だから加恵は勝てない。

 ゴシが加恵に贈ったクリスマスプレゼントは口紅。お酒のお礼だけど、自分は飲んでないけどと相変わらずひと言余分なのよね、この人は。前にゴシは加恵ちゃんに香水もプレゼントしていたことがあったけれど、少女から女性へと見た目の変化は自分も協力しているのです。口紅に香水。これをつけて子供と呼べるわけはない。加恵が大人っぽくなることに戸惑ったり、周りから威嚇するのは、自分で自分を追い詰めている結果なので辛抱強く耐えてください。



 [ ♯0012 ]

 ゴシの弟・信くんのお話。ちょっと柄が悪い女の子に心を奪われる信くん。兄と加恵の例があるから、自分はそんなにもの好きじゃないと言い張っていても、ちょっとクセのある女性・両角が気になる。信くんってひねくれ者のゴシとは違って素直でフツーの男の子なんだけど、兄がああいう性格だからか、一筋縄ではいかないような人を好きになるのだろうか…

 兄が加恵の唇に口紅を塗ろうとしているところを目撃するシーンで、へたなキスシーンを見るより…と感じていたけど、私も読んでいてドキッとしました。ああいう何気ないシーンにドキッとさせられることを説明するマツモトトモ先生のセンスはすごいな。

 信くんがピアノを弾けることに意外でしが、ピアノに携わっている一家の血筋なので当然と言えば当然か。



 [ ♯0013 ]

 「口笛を吹くときの唇の形がキスをせがんでるみたいにみえる」。 思ったことある人、いるかと思います。 ふとその言葉がよぎった時、両角さんは口笛をよく吹いている人ということで、彼女にキスしてしまった信くん。この時に恋だと認めていればよかったのだけど、両角さんは引っ越しをすることになってしまい、信くんの恋は報われないのでした。

 兄のゴシが相手は7つも下の女子高生だけど恋をして大人の魅力たっぷりなのに、弟の信くんは地味ではかなくて… もの好きな加恵ちゃんと兄の恋愛を目の当たりにして、信くんの不幸は悲しいです。
 信くんはクセのある女の子じゃなくてフツーの女の子でいいと思います。それこそ加恵ちゃんと一緒にいるとお似合いだなって思ったりもしますが、加恵ちゃんは兄のものなのでそこで何かあったら間違いなく殺されるでしょう。(笑) 

 信くん編、前半・後半の2話構成でした。サイドストーリーでありながら、ワンシーンずつくらいで加恵とゴシの幸せそうな様子が垣間見れたのがよかったです。



 [ ♯0014 ]

 加恵の姉・名恵のお話。大胆で体当たりな恋をしている妹・加恵に対して、アガリ症で恋に奥手そうにみえる姉。同じ剣道部の二ノ宮君が好きなんだけど、彼を前にすると告白どころかまともに話さえできない。妹の恋をうらやましがる名恵の気持ちを加恵と五嶋先生との幸せな様子を描写したシーンを挿入させるという手法がうまいです。そして、そのシーンに、とくに車で送ってもらった加恵がゴシとキスするシーンがステキで恋人っぽいシーンだなぁ。

 優しそうで完璧にみえる人間ほど曲者だったりしますが、二ノ宮くんもそんなタイプ。そしてそれが魅力的だったりもする。加恵といい名恵といい、小川家の娘たちは性悪の男に惹かれてしまう運命なのね…



 [ ♯0015 ]

 みどころたっぷりのサイドストーリーをおさめた3巻ラストを飾るのは、内田さんが語る学生時代のゴシ。内田さんとゴシの出会いは、ゴシが高校2年生の時。当時内田さんは音大生で、コンクール会場とかで伴奏をしたりしてた。ゴシがたまたま父の仕事場にやってきた時に内田さんの目に留まって、そこからゴシのピアノ人生が始まる。
 予選を通過した学生コンクール。だけど当日ゴシは現れなかった。飛行機事故でなくなった両親のことがここにつながってくる。それから内田さんはゴシがピアノをやめているのかと思っていたが、就職先の今の会社(YAMAHA)の講師募集にゴシがやってきて現在に至る。再び内田さんの前に現れたゴシは、学生時代よりもさらにピアノの腕があがっていて、見た目も父親を思わせるようなところはなくて圧倒的な存在感になっていた。調律師であった父の死は、いろいろな面でゴシを強くさせたんだと思います。

 各巻最後に載っているおまけまんがのコーナーで、店長とゴシとの出会いがありましたが、店長か初対面でいきなり「ゴシちゃん」と呼んで呆然とするゴシに「ゴシリンの方がよかった?」に笑えました。ゴシリンって…(笑)


 4巻  1999年4月5日 発売

 [ ♯0016 ]

 先生に下着姿を見られて動揺して、その後先生の顔がまともに見られない加恵ちゃん。そりゃ、恥ずかしい。でも、ゴシ本人は平然としていて、この人が感情を表に出すことってほとんどないのでどう思ったかわからないところも加恵にとっては不安ですね。
 気まずくてレッスン途中に飛び出して、だけどやっぱり後悔する。先生の部屋の前で30分近くウロウロする加恵ちゃん。謝りたいけど恥ずかしい感じがカワイイ。やっと謝りに行ったら、ゴシはすねちゃって、加恵のキスで機嫌を直そうとしてもらって、二人の仲直り=キスはとっておきの魔法なのかもしれません。

 16話はじめで先生の横顔や髪に見とれて、「シャンプーは何を使ってるの?」と、レッスンとは関係のない加恵の質問に笑ってしまいました。加恵ちゃんってゴシのこと隅々まで見てますよね。ピアノを弾く手がきれいとかネコっ毛とか。ピアノを弾く手なんてマニアックなフェチだなと思います。



 [ ♯0017 ]

 加恵を溺愛する龍蔵叔父さん登場。加恵ちゃんは龍蔵おじさんにすごくなついていて大好きだった。ずっとついていると約束したのに、加恵に黙っていなくなってしまった。それのことと、ゴシが仕事仲間の人に加恵のことを生徒と紹介した。間違ってないけど、彼女だって言って欲しいんだよね。先生も龍蔵おじさんも含め、大人は上手にウソをつくって事をこの中では言ってる。
 龍蔵おじさんがいなくなったときのことを思い出す中で、ゴシが弾く仕事が増えて講師を辞めるんじゃないかって話を聞いて、先生も自分を置いていなくなってしまうんじゃないかって不安になる。家族がいて幸せそうに見える加恵でも、失う怖さを持っていて、人間不安を抱えていない人なんていないんじゃないかなと思います。

 ゴシが仕事にいくだけなのに不安に駆られて「行かないで!」と叫んで行ってしまったのに、突然戻ってきましたが、きっと様子が変だと察したと思います。ポーカーフェイスのゴシが一瞬その姿を崩したのは、やはり加恵が泣いていたからでしょうか。「泣かれるのは何より弱い」と以前言っていたので、ゴシにとっての弱点は加恵の涙じゃないかなって思います。

 それにしても、ゴシは携帯電話持ってとまた言われてましたね。環さんに言われ、今度は仕事仲間に。ゴシはウザいから嫌ってますが、意外と男性って携帯持たない人多いですよね。ウチの父も携帯電話はかけることないからと持たない人です。たしかに、かける必要ないならいらないのかもしれませんけど、実際のところ、なくて相手が困ることだってあるので今の時代携帯電話は日常生活に欠かせないものになっています。

 17話ラストで、龍蔵叔父さんが加恵の男事情に関して、悪い虫はあらゆる手段で潰すと言ってましたが、なんだか怖いですね。悪い虫でなければ応援してくれるんでしょうけど、最後にあのセリフを持ってくるとなると、今後の展開に何かありそうな予感がします。



 [ ♯0018 ]

 いつも子供扱いさせる加恵ちゃんのために、環さんの入れ知恵で、大人っぽく変装してゴシの前に現れた加恵。ロングヘアに清楚なワンピースを着た加恵はずいぶんと大人な女性の雰囲気を醸し出し、先生はいつものように笑って返すかと思ったら笑わなかった。ゴシのポーカーフェイスが崩れる時は加恵が泣いた時と、こうやって見違えるほどにキレイになった時でしょうね。
 いつも子供扱いしているけれど、何年かすれば加恵は今回みたくキレイな女性に成長してる。それを痛感したごしまくん。美しくなった加恵にいろいろな意味で振り回されるのは遠くない未来の話。帰り道、加恵からあんな恰好は二度としないからと言われて、「振り回されるのは3年後で十分」というのは、今回の加恵の姿を大人だと認めたこと、加恵のことで心配するのはもう御免だということかな。
 ワンピースについてる値札のタグを歯で食いちぎって取ったゴシは野獣のようでした。そして、それは周りの男性へのけん制・威嚇の意味が込められてる。ゴシを見て後ずさりする男たち。ゴシってかっこよくて色気もあるんだけど、その分威圧するオーラもあって睨まれるとかなり怖いと思います。周りの男から加恵を守るにはゴシの威圧だけで十分効果抜群ですね。
 でも、今回のことで加恵に振り回せれたゴシはいい気味。ゴシよ、これから大人っぽくなった加恵ちゃんにどんどん振り回されるがいいわ。振り回されるゴシを見るのは楽しい。(笑)



 [ ♯0019 ]

 先生と龍蔵おじさんがついに初対面!加恵がピアノ講師に懐いていることを知っていろいろ気になりだしたのか、そして相手が男だと知って偵察にいったのか。龍蔵おじさんを見ても物怖じしなかったゴシだけど、ゴシを見て龍蔵おじさんも物怖じしなかった。二人とも威圧感あります。
 龍蔵おじさんはいつまでも加恵を10歳の頃と思ってたり、加恵にはまだ恋は早いだとか、ちょっと子供に見すぎて子離れ的なことができてないことにイライラします。溺愛ってことなんだろうけど、ちょっとうっとおしい。
 龍蔵おじさんに試されるのか、展示会のデモで弾くことになったゴシにリクエストを要求。ゴシの運命やいかに。



 [ ♯0020 ]

 龍蔵おじさんから難曲をリクエストされたゴシだけどあっさり弾いてしまい、勝ち誇ったかのようで、龍蔵おじさんとしては面白くないでしょうね。ゴシってホントピアノの腕は一流なんだろうなぁ。
 でも、それでもまだ納得できないのか、加恵をピアノ教室の妙な講師に懐いてるとか言ってるし、悪い男にはひっかかるなよとか、どうもゴシをよくみていないようです。
 加恵を迎えにいったら、教室で二人でキスしてるところをみつけてしまったもんだからさぁどうなる!?最後、ゴジラが現れたところが龍蔵おじさんの変化をよく表していますね。



 [ ♯0021 ]

 ニキリュー(龍蔵叔父さん=仁木龍蔵)さんと環さんが仕事仲間で、二人が仕事する場所へゴシと加恵がそれぞれたまたまやってきたもんだから、加恵、ゴシ、環さん、ニキリューさん4人の妙な顔合わせとなってしまいました。
 ゴシとしてはしくじったなような気持があるんだろうと思いますが、案の定、ニキリューさんに完全に目をつけられてしまい、ここでも被写体をやらせるというイジワルに。それだけでなく、加恵に手を出すなと警告。でも、そこで引き下がるわけがないゴシ。ニキリューさんと真っ向勝負です。姪を溺愛する叔父だとすでに気付いているので、ゴシからしてみればこれも想定内だったりして。

 ゴシと龍蔵おじさんのやりとりを知らない加恵ちゃんがその事実を知ったらどういう反応をするんだろうか。気になるところです。


 5巻  1999年9月4日 発売

 [ ♯0022 ]

 若き龍蔵おじさん&ちび加恵の話。幼いころから加恵はワガママ、頑固な面があり、似たような性格の龍蔵おじさんと折り合いが悪かった。今の加恵を溺愛しているところからは考えられないような子供嫌いで、加恵に厳しくしつけようとした。そんな二人が仲良くなったのが、カメラ。龍蔵おじさんが持っているカメラに興味を持ち、いつしかカメラをのぞくことに夢中になっていた加恵。それからは二人でカメラを持ってでかけるようになる。
 龍蔵おじさんに反発した加恵も、加恵のワガママに怒ってしまう龍蔵おじさんも、結局はお互い頑固で意地っ張りという同じような性格で、似た者同士が意気投合すればすごく仲が良いのだけど、相性が悪いと衝突したりケンカが絶えないですね。そういった意味では、龍蔵おじさんとゴシも似た者同士かなと。それが叔父と姪の彼氏ってことでなおさら気に食わないところがでてきて、火花を散らす感じですね。
 加恵とゴシも意地っぱりなところはそっくり。だから頑固者同士がぶつかってケンカになる。ゴシも龍蔵おじさんも加恵も、みんな似てるんです。

 ちび加恵ちゃんワガママで大人を困らせるような態度だけど、カメラをのぞくところは可愛かった。加恵は小さいころから手をやいていたんですね。加恵ちゃんって美少女で守りたくなるような感じだけど、けっこう勝気で男のようなところがあって、そのギャップがまたカワイイ。

 「将来、加恵の男は苦労するわよ。」と加恵母。ホント、加恵母の予感通り、言うことを聞かない加恵にてこずっているごしまくんです。(笑)



 [ ♯0023 ]

 ゴシはピアノもできるしカッコイイし、他の周りの女性たちだってほっとかない。実際に街を歩ければゴシのカッコよさに振りかえる人も多く、一緒にいて不安になる加恵。自分のことを独占欲が強くて先生が周りの女性からみられるのがイヤだと言っていたけど、恋する女の子なら誰しも思うことで、加恵に独占欲が強いとか関係ないです。
 たしかに加恵くらいの年になるとゴシのようなカッコいい男の人に心を奪わる人も多いでしょう。でも、加恵の場合は、ゴシもちゃんと加恵のことを見てくれてる。仕事にやってきてレッスンがキャンセルになってせっかくの空き時間を加恵のために使ってくれるんだから、口が悪くても心はちゃんと通じてる。これに口が問題なかったら言うことないのにね。(笑)

 でも、なんといっても23話のみどころはゴシの入浴シーンではないでしょうか。(笑) お風呂に入っててもやっぱりたばこは吸ってるまさゆきくん。それもまたかっこいい。



 [ ♯0024 ]

 龍蔵おじさんにつかまって加恵の家へ。ゴシとしてはやっかいなことに巻き込まれた感じ。ゴシだったらうまくかわせないこともないだろうに。素直に従ったかに見えたけど、なんと龍蔵おじさんを挑発。さすがゴシ。やりますねー。ゴシVS仁木龍蔵の加恵をめぐった闘いがはじまって面白いです。

 家にあげたゴシに仕事の話を持ちかけた龍蔵おじさん。仕事をあっせんするなんてフツーに考えればいい人そうですが、最後の加恵との別れ時の「次会うとき」という意味深な言葉を考えると何か裏があるのではないかと思ってしまいます。

 名恵の友人がゴシや龍蔵おじさんをみて「ホストクラブみたいな家」と表現していたのが笑えた。龍蔵おじさんがゴジラになったり、加恵のことを紫の上と言ったり、例え方がわかりやすくて理解しやすく読みやすいです。



 [ ♯0025 ]

 D・ノッテンのサポートの仕事をすることになるゴシ。オオカミを檻に閉じ込める=仕事で忙殺させ加恵と引き離す龍蔵叔父さんの作戦。向こうもなかなかやりますね。なのにゴシは仕事だからと割り切る。環さんの「普段子供扱いするわりに、まだ17歳ってこと忘れてる。」という言葉に私もはっとさせられるくらい、ゴシの言葉と言動が矛盾している。

 加恵は先生からキスしてくれたことで幸せになっていたけど、次会う時の意味も考えなく、ようやっとそれに気づいたら会えない日が続いて、本当は先生と話したくて電話の前で待ってるけど自分からは電話しない、とつまらない意地を張ってしまう。今度会ったらぶっ飛ばすとか強いこと言ってるけど、電話がなって出れなくて悔しがって、ゴシも意地っ張りだけど、加恵ちゃんはもしかしたらゴシよりもさらにすごいのかもしれない。



 [ ♯0026 ]

 D・ノッテンに気に入られ、多忙を極めるゴシの仕事。ピアノ教室の講師を休みがちになってしまい、加恵と会えない日が続きます。環さんからさみしいかと聞かれても仕事だから、と冷たい反応ですが、弱点である加恵の涙だけは気にしているよう。本当は動きたくても動けない、連絡取りたくてもすれ違って、ホント素直じゃないです。疲れて家に帰ってきて、うとうとしているときに環さんを間違って加恵の名前を呼んでしまい、ゴシの中で加恵の存在が大きくなっているのかなと思います。

 加恵の方も意地を張ったりしているけど、いつ会えるのか、連絡がなくて不安になって、泣かないと決めていても先生の写真を見たら涙してしまう加恵ちゃんの強がりが切ないです。先生の家に張り込みに行ってもやっぱり会えなくて、信くんが講師は退職になるかもと思わず漏らしてしまったことにも不安を募らせている一因ではないかと思います。信くん、加恵を落ち込ませちゃったのがおいおいって感じでしたが、加恵の兄がらみのことは必ず教えてくれていつも二人の仲を取り持ってくれるのでやっぱいいヤツですねー。なのに、しつこく攻める信くんに怒りを向けるなんて、ゴシは本当にオニアクマです。



 [ ♯0027 ]

 ゴシと会えない日が続いて普段の生活にも気力を失ったのか、眠り続ける加恵ちゃん。あー、わかるなその気持ち。私も落ち込んだり無気力になったりすると寝ちゃいます。寝るとすっきりするんですよね。
 いつもと様子が違う加恵ちゃんだけど、先生と一緒に撮った写真見て会いに行ってやるとかいつも通りの加恵ちゃんになってきてちょっと安心。会ったら胸に飛び込んで…とかいうのがロマンチックな女の子のセリフだろうけど、先生と会ったらケンカ腰とか怒ってしまうだろうという発言は加恵ちゃんだからこそかもしれないです。

 一方、加恵のいないところでゴシVS龍蔵おじさんのバトルがまた勃発していたようで、「今後加恵が自分を選んだら、その時は手を引かない。」と。ゴシが宣戦布告。とうとう本気になったのか。思われている加恵ちゃんは幸せ者です。


 6巻  2000年2月4日 発売

 [ ♯0028 ]

 ゴシと会えない日が続き寂しさを募らせる加恵は、龍蔵おじさんを振り切ってついに五嶋先生に会いに家を飛び出します。探し回ってやっと会えた二人。街中で先生見つけて、車が走っているのに道路を渡って歩く加恵の行動が先生に会いたい一心だろうなって思います。ゴシの方も何も言わず加恵を受け入れて抱きしめていたけれど、マツモトトモ先生のあとがきの中でゴシが「横断歩道を渡りなさい!!」と言ったであろうというセリフも想像でき過ぎて笑えます。
 龍蔵おじさんは負けを認めたのか、加恵を連れ戻すのをやめて環にヤケ酒を付き合わせる。「娘の父親にはなるもんじゃないな。」というセリフからも伺える。でも、気長に破局を待つとか、イジワルな環の「破局しなかったら将来柾裄が甥になる。」というセリフに動揺するなど、まだどこかで五嶋先生のことは認められないところも残っていて、大切な加恵の幸せを壊したくない気持ちがあったのかなって。おとなの男であるゴシが加恵を子供だと思って遊んでいると思っていたけど、久々に会った加恵と五嶋を見て、先生に対する加恵の気持ちを知ったこともあったのかなって思います。

 龍蔵おじさんから加恵は「いけないことをしたがる。」と言われ、「いけないことをするのは気持ちがいい。」という加恵はスリル感や危険なことをするのを楽しむ性格かな。見た目はか弱い感じだけど、気が強くて、「安全な男なんてつまんない。」と恋にも燃えるような性格。サティの曲にもあるような「私の望み、あなたがほしい。」とか、五嶋先生への加恵の強い愛情が曲とともにメロディを奏でています。



 [ ♯0029 ]

 そのまま先生の家に泊まって朝を迎えた加恵。朝帰りなんて女の子はドキドキもので加恵も例外ではないのに、ゴシはいつも通りのクールさ。ゴシの朝帰りなんてしょちゅうだろうなと思っていた加恵だけど、信くんの話によればゴシの朝帰りなんて見たことないとかで、本当は先生も自分といれてうれしかったと思っていたり…という加恵の気持ちにくすぐったさが感じられてかわいかったです。

 家に帰りづらい加恵のために、一緒に帰って事情を話したごしまくん。龍蔵おじさんに「昨夜は取り込み中だったのもので。」とか誤解されるような発言にドキッとしたけど、何してたかなんて話す必要もなければ簡潔なセリフでゴシらしいなと。
 帰り際、加恵に「怖いこととか不安なことなんて先生にはないんだろうな。」と言われていたけれど、ゴシには両親を失ったことから大切なものを失う怖さを持っている。加恵と一緒に寝ていてふと急に目がさめて加恵の様子を確かめたのだって、加恵を大切に想うからこそ不安が現れた行動で、加恵を失うことを強烈に怖れているごしまくんの心が、この29話の中で二人の関係と併せて描かれています。

 加恵とゴシが寝たのか寝てないのかっていうあとがき。ゴシはちゃんとしてたけど加恵ちゃんのノースリーブという半端な格好がまた二人の関係を曖昧にさせているんだよね… 私は寝てないに一票。加恵よりも意外とゴシの方が慎重になっていると思う。環さんも言っていたけれど、一線を越えたらそれこそゴシは加恵を手離せなくなるし失う怖さが増す。だからこそなかなか手が出せないというのもあるだろうけど、ぬくもりくらいはほしいと思うので一緒にベットに入って手を出そうとしたら出せなかった、ということにしときましょうか。(笑)



 [ ♯0030 ]

 若かりしごしま父母の話。二人の出会いはお見合い。漫画なのでもっとロマンチックかと思ったら意外とフツー。親しくなるきっかけはピアノということで、やはりごしま家にピアノはなくてはならいものになっています。まさゆきくんのお父さん・五嶋安裄氏が調律師であることは語られていましたが、ここで母・瑶子が登場したことで五嶋家の性格がはっきりみえてきました。
 実はゴシのピアノの才能は父ではなくて母の遺伝。瑶子さんもピアノがとてもうまい人で今のゴシのように絶品な音色を出していた。母が自分の才能に執着しなかったように、ゴシもまた自分のピアノの才能に執着せずにいる。それだけではなく、性格までも母親譲りであることが判明。ちょっとイジワルで図太いとかなんかよく似てる。まさゆきくんはいいとこも悪いことも含めて母親似。対して、父親の方はちょっと大胆だけど優しくて。だから信くんは父親似ですね。

 ごしま父母をつないでいるのはピアノ。そして、その遺伝を受け継ぐまさゆきくんと加恵ちゃんをつないでいるのもピアノ。二組の出会いや関係は違うけれど、ピアノというものが五嶋家にとって大切な縁をもたらすもので、ケンカしながらも父と母が睦まじくしていたように、まさゆきくんもまた加恵ちゃんとケンカしながらも大事にして見守って、(結婚すれば)将来はきっと両親のような夫婦になるんだろうなぁ〜と個人的な解釈・想像を含めて、柾裄くん&加恵ちゃん二人の未来を思い描いてみたりします。



 [ ♯0031 ]

 若かりしゴシの話。加恵にジッポをもらって、15歳、ピアノを習っていたこととジッポの思い出を思い出す。ゴシのピアノの才能は母の遺伝と、15歳の時にジャズピアノを習っていた恩師・祥子さんによるもの。一級ピアノ弾きの祥子さんのレッスンで次第にピアノの音色が似てきたということで、ピアノの才能をもった母に恩師となれば、ゴシが天才的なピアノ弾きであるのも納得。
 祥子さんもまたおおざっぱで落ち着いた感じというよりは明るくてサバサバしてる。ゴシの周りの人って曲者が集まる? 今のゴシからは考えられないけど、当時のゴシは今みたいに威圧感はないし強くもない。ゴシは両親の事故を含めて変わってしまったところもあるけれど、周りの影響も少しはないのだろうか…

 そして、この話の中でキーとなるジッポライター。終盤、スモーカーの祥子さんが使っていたジッポライターが出てきましたが、まだ物語に深くは関係しておらず、このジッポにゴシがどんな思い入れがあるのか気になるところです。



 [ ♯0032 ]

 ゴシが人前でピアノを弾いたのは15の時。この時からピアノの才能を人前でさらけ出し、周りもびっくりするほどのもの。ゴシはこうやって若い時からピアノの練習を積み重ね、聞かせたりしたきたから今もああやって弾く仕事はするし、どんな時でも一級品のピアノ演奏ができる。ゴシの才能ってすごいんだなぁ〜と改めて知ったのでした。

 勝手で気ままだと思っていた祥子さんに次第に惹かれる。タバコを吸う祥子さんを見て、タバコにもまた興味を持つ。そして知ったタバコの味。最初からタバコを吸ってみたいと思っていたわけじゃないんですね。臭いし体に悪いとか思ってたくらいなので。それを祥子さんという人に出会って彼女のすることに惹かれる。今のゴシがあるのは祥子さんの存在が大きいのかもしれませんね。


 7巻  2000年11月4日 発売

 [ ♯0033 ]

 ゴシのキスがうまいのはどうやらうまれつきのようですね。キスも才能なんだとか。それを祥子さんに指摘されて、「いつか大切な人に使ってあげられるといいね。」と言われても「それを今なんでいうのか。」というゴシのセリフに、祥子さんに対する興味が彼の中にはあったんだと思います。
 でも、ゴシの前から突然姿を消した祥子さん。いなくなる直前にゴシにジッポを贈っていた。でも、どうやらゴシはそのジッポを使っていないことが最後の加恵とのシーンの中で判明しており、ゴシの中で祥子さんとのことは思い出になっている。ゴシが祥子さんとのことを引きずるからもらったジッポを使っていないということはあり得ないかなと。ゴシが昔の恋を引きずるような人間には思えない。でも、加恵にもらって「くれるっていうならもらうけど。」という相変わらずの鬼畜ぶりですが、大事に使うと言ってくれた。祥子さんとの思い出に「パチンと蓋は閉じられ火は消えた」と、祥子さんとのことが終わっている表現をしており、加恵に「この火が消えることのないように。」と、加恵との恋がいつまでも続くようにと願うゴシの気持ちがあるんだろうと思います。

 最後はちょっと切なかったけれど、こうやって過去に経験があるからこそ、今のゴシは加恵を大事に想うことができるのかもしれない。そして、加恵を失いたくないという願いもまた、ジッポの火のように今度は消えないようにという想いがあるのかもしれないですね。



 [ ♯0034 ]

 ゴシにおねだりがあるのか必死になってる加恵。前はけっこうダメとか言って仕方なく観念する流れだったけど、最近は加恵の言いたいことしたいことをちょっとは素直に聞くようになったかなというゴシ。

 二人で初詣に出かけて、フツーのカップルならばラブラブな感じもあるのだろうけど、ゴシと加恵はそうはいかずやっぱりケンカするし、ゴシは相変わらずの加恵の着物姿を見れば「馬子にも衣装」とか手をつないで「保護者みたい。」とか鬼畜でホント性格ゆがんでますが、加恵が手をつないたいという願いに応えてくれて、ゴシっていいやつなのかそうでないのか… 手をつなぐのが年に一回なんて加恵ちゃんかわいそう。

 扉絵の和服ゴシが素敵でした。ゴシはモデル体質で背が高いから、何でも似合いそうです。



 [ ♯0035 ]

 若かりしゴシ&チビ信の話。両親を飛行機事故で亡くして、それからは兄弟二人の生活。年の離れた弟を抱えてゴシは弱音を吐かずに何でもひとりでやってきた。加恵に対して子供のような扱いをするのは、昔から信くんの面倒を見てきたからなのかもしれないですね。
 昔から信くんはまさゆきくんには逆らえない悲しい運命… だけど、父兄参観に来てくれたり、進路に対して厳しく反対するのは信くんのことを大切に思っている証拠だと思うな。信くんは自分という重たいお荷物がなかったらゴシはもっと好きなことができていた、だから自分も早く一人前になりたいと思ってるようだけど、加恵が言ったみたいにゴシにとって信くんは大切なものだと思います。信くんの面倒をみることくらいゴシにしてみればなんでもなかった、そんなふうに感じます。ゴシは昔から苦労性なんだね。実はすごく面倒見がいい人なのかも。 でも、やっぱり信くんに対してオニアクマなところをみると、信くんがかわいそう…



 [ ♯0036 ]

 ゴシにデートをキャンセルされ、ひとりで映画を観に行った加恵ちゃん。そこで関西弁を話す男にナンパされ一緒に映画を観ることになってしまう。一方、仕事が早く終わったゴシが歩いていると、偶然元カノが現れ、なぜか映画に誘われ一緒に見る。という加恵サイドとゴシサイドがそれぞれ違う相手と映画を観る対照的なストーリーになっています。

 加恵の方はナンパ男につれない態度でも時々みせる無邪気な笑顔に無防備になる。下心ありありな男は加恵のことがますます気にいる。加恵ちゃんって容姿はかわいくて守ってあげたくなるよう雰囲気でけっこうもてたりするんだけど、本人はまったく気付いておらず、ゴシはそういう無防備さのある加恵が心配なんですよね。ゴシ苦労しますね。
 関係ないけど、私はひとり映画はあんまり得意な方じゃないです。基本的にひとり映画は観れません。周りの目を気にするし。ただ、どうしてももう一回観たいものとか、だれか一緒に行くと気まずくなりそうなものだけは仕方なく一人で観ます。

 ゴシは元カノと4年ぶりに会って映画を観る。最初は断ろうとしたんだけど、ゴシがめずらしく勝てない相手なのか付き合わされた感じ。ゴシでも敵わない相手っているんですねー。やっぱり好きになった女性とか。加恵には一枚上手だけど、最近は焼きが回ってますからね。
 ゴシは年上好みなのか、祥子さんにしても、今回の瑠利さんにしても。瑠利さんに彼女のこと聞かれ年下は珍しいと言われてましたので。でも、ゴシってば映画観てる途中で寝てる… あぁ〜、こういう人とは映画観たくない。(笑)
 映画終わって帰ると言ったゴシ。よくぞ言った。瑠利さんちょっとがっかり?でも、ゴシの方は加恵ちゃんが待ってるので。そしたら瑠利さん、「シゴトシゴトばっかり言ってたら、他の男と映画観に行っちゃったりするんだから。」とゴシに忠告していましたが、それって瑠利さん自身のことでもあるけれど、加恵のことでもある。たまにはデートしてあげないと浮気されちゃうよって言ってるのかな。

 そしたら加恵ちゃんのとこやってきて一緒に映画を観る。二人とも別の人と映画を観た…なんて言えないんだろうな。でも、二人とも本来一番一緒に観たい人と来ているわけで、何ともないんだろうな。ゴシが「待たせて悪かった。」と素直に謝ったけれど、なぜか「裏がある…?」と素直に受け止められない加恵ちゃんの気持ちがよくわかるのはなんでだろう?(笑) それだけゴシって普段が素直じゃないんですよね。せっかく謝ったのにキレてしまうゴシもまた面白い。
 でも、二人ケンカしても結局最後は仲良しで、映画のワンシーンのようなキスシーンで締めると言う素敵なラストでした。ナイトだからだれもいなかったのかな。



 [ ♯0037 ]

 ゴシが加恵に指導しているところ久々に出てきました。最近ゴシはレッスンを休みがちだったけれど、また戻って来たということはD・ノッテンとの仕事は落ち着いたのかな。(いまさら?)
 だけれども、レッスン中に加恵が貧血でダウン。「手が冷たい人は心が暖かい」というのはウソだよね。となぜか五嶋に向ける。やっぱり自分を寝かせてどこかへ行ったゴシにやっぱり冷たいと思うけれど、実はゴシはちゃんとくすりを買いに行っていた。でも帰ってきたら、加恵が元気になっていて、くすりの意味がなくなってしまった。せっかくゴシが心配してたのに、前回映画で加恵をナンパした男・朗が加恵の前に再び現れて中睦まじい様子を目の当たりにしちゃゴシがちょっとかわいそうかな。また威嚇でもすれば良かったんだろうけど、しなかったのは心に余裕がなくなっているのか?傷ついたのか。加恵ちゃんは友達くらいの認識だけど、ゴシは不安なんですよね。でもね、ゴシも仕事ばっかりで加恵を放っておいたから、ああやって他のオオカミが襲ってくるんです。



 [ ♯0038 ]

 加恵をナンパしてきた男・鈴木朗(17)はさまざまなコンクールで入賞歴を持つ、これまたピアノの才能を持った少年でした。彼のことを「歩いてたら声かけてきた人。」と話したらゴシが「もっと警戒しろ!!」と大激怒です。そうですよね、彼氏がいるのにナンパされた人と親しくなるのはゴシでなくても怒れますって。いつもならそこでケンカになるのに、ゴシはいやになったのかその場からいなくなっちゃいました。

 加恵とゴシが気まずいまま、再び朗が現れ、五嶋の存在を知る。そこで、朗が加恵との交際を賭けて五嶋と勝負を挑みます。カルメンの「ハバネラ」を巧く弾いた方の勝ち。そんなメリットもない賭けにゴシが乗るわけないはずが、なんと挑戦を受けて立つ覚悟。これはどういうことか。「それで気が済むなら好きにすればいい。」というのは加恵を譲る気はなく余裕そうなところも伺えるけど、内田さんが「(加恵を)失うのを恐れて自分から手離そうとしている。」と、もしかしたら負けるつもりでいるのかもしれないといまのところゴシの本心がどっちにあるのかはわかりません。

 その後、気まずいまま会った加恵にキスするゴシの行動もまた、彼が何を考えているのかわかりませんね。「猛獣みたいなキスでした。」と、ゴシのヤキモチとか加恵に対する深い思いがあるのだろうけど、内田さんも言っていたように、もっと言いたいことははっきり言って素直になってほしいと本当に思います。「加恵は譲らない。」くらいの気持ち、あってほしいものです。


 8巻  2001年5月2日 発売

 [ ♯0039 ]

 ゴシVS朗のハバネラ対決当日。朗の弾くハバネラは鮮やかで周りも聞き惚れてしまうような音。でも、天才的な腕を持つゴシが本気で戦ったとしたら負けるわけはないでしょ。
 でも、ゴシは大切なものを失う怖さを持っている。「わたしちゃんと先生の手の中にいるのかな。他の人には譲りたくないって思ってくれるかなぁって。」もし先生がわざと負けて加恵を手放すようなことにでもなったらと心配する加恵のセリフや表情が切ないです。
 でも、心配そうな顔をする加恵に「なんて顔してんの。」とか、「わざわざ手加減するほど人が良くない。」と、先生どうやらこの勝負に負ける気はないと予想しますが、ゴシのハバネラがどう響くのか注目です。



 [ ♯0040 ]

 ハバネラ対決、いよいよゴシの番。不安になっている加恵だったけど、ゴシの弾くハバネラはまるでピアノが歌っているかのようで、艶があって、観衆を乗せてしまっている。朗の弾いたハバネラと同じ曲とは思えず、お客さんの反応からみてゴシの勝ち。
 涼しい顔して挑発に乗って、やっぱり負けるわけがなく、やっぱりゴシはやることがカッコよすぎる!もちろん加恵ちゃんはうれしいはずなんだけど、
 
「男の人に振り回されるのもうたくさん!!」
 と、17歳でこの言葉がでてくるのはすごいとしかいいようがないです。今回の騒動でいろいろ巻き込まれた加恵ですが、今までのゴシがどれだけ加恵のこと振り回しているのかもわかりますね。
 17歳の少女をめぐって24歳の大人の男が子供相手に本気で勝負してるなんて、すごい光景。加恵ちゃんがゴシに思われてるのが伝わってきて胸がキュンとなります。内田さんも言っていたけど、自分のためにピアノを弾いてくれる男の人なんてそういません。幸せ者です。
 帰り際、加恵にぶつぶつ文句言われ、「どうもすみませんでした。」と謝罪するゴシの姿なんて最初の方では想像がつかないくらい。加恵に迷惑かけたとわかればゴシは素直に謝るようになってきましたね。いいことです。



 [ ♯0041 ]

 朗と中学の時からの友達・麻実ちゃんがメイン。朗が加恵に五嶋がいてもあきらめずに追っかけているのは男の意地、加恵もまた五嶋と対等になりたくて女の意地を張ってる。ライバルや相手がおとなだからとか、タイプが違うとか関係ないんですよね。好きになったらみんな一生懸命で、意地を張ってでも好きな人に振り向いて欲しいというのは誰でも同じだと思います。

 (ふだん関西弁に慣れてないので読むのに疲れました。)



 [ ♯0042 ]

 忙しい五嶋先生を案じ、自分に何かできることはないかと尋ねる加恵。せっかく心配してくれてるのに「自分でやった方がいい。」とかいつものごとく鬼畜だけれども、本当はうれしくて微笑む。「生きてて側にいて機嫌よく笑ってればそれで十分。」ゴシにとって加恵がそばについていてくれるだけできっと幸せなんだと思います。
 加恵ちゃんもだんだんと大人になってるんですねー。前は仕事ばっかりって怒ってたけど、今でもデートをキャンセルされれば頭にくることがあっても前みたいに本人の前で直接ワガママ言わなかったし。

 でも、今回のゴシはなんだか様子がおかしくてこわれてました。仕事がつまってるのにわずかな空き時間を利用して加恵を遊園地に連れて行ってくれる。その真相はまだ明かされてはいないけれど、途中D・ノッテンが出てきたことと関係あるのか。ゴシとの仕事の話で「本気で口説かせてもらう。」 何かあるか。



 [ ♯0043 ]

 ノッテンの仕事のサポートで半年ほどアメリカへ行くことになったゴシ。やっぱりそういうことでしたかー。でも、そのことが加恵になかなか言い出せない。加恵が聞いたら泣くとか環や信くんに言われたこともあったのか、ゴシは加恵に泣かれることが何より弱いですからね。
 でも、ゴシが本当に怖れていたのは、加恵が泣くことではなくて、待てないと言われること。でも、ゴシのそんな心配は取り越し苦労で、加恵は高校を卒業したらアメリカまでゴシを追っかけると言ってくれた。ゴシは聴いた時びっくりしてて「呆れてものが言えない。」と言っていたけど、うれしかったんだと思います。よかったねゴシ。

 先生宅でカレーを作っていた加恵だけれども、何かトラブルが起きて、もし二人が結婚したら家事が大変そう… 加恵よりもゴシの方が家庭的だったりして。そんな二人の姿を想像するのもまた楽しいですね。



 [ ♯0044 ]

 いよいよラストです。でも、加恵と五嶋先生の物語は前回が実質的なラスト。最終話は43話のその後のストーリーを脇役目線で語った過去の話。
 主人公は加恵と同じピアノ教室に通っていた岩武早紀。彼女からみた加恵と五嶋の様子。自分の両親が離婚していることもあり、恋なんていつか終わりが来るものと思っている。五嶋先生が嫌いな彼女にとって、加恵が五嶋と付き合っていることにも信じられなかった。でも、大人になって当時ピアノ教室で知り合っていた人と一緒にいる。そんなことから、五嶋と加恵も今でも一緒にいるかどうか問いかける。そんな話の流れです。

 ゴシがアメリカに出発する日、飛行機事故が起きた。ゴシもまた飛行機事故で死んでしまうのか…と思わせ、加恵のもとへ帰って来た。正確には飛行機を遅らせて加恵に会いに来たんだろうけど、まさかと思いました…(汗)

ゴシと加恵はきっと幸せに暮らしていることと思います。