明日もきっと恋してる。
 シリーズ…マーガレットコミックス
 著者…藤井明美
 出版社…集英社
 巻数…全4巻
 発売年…1998年〜
 掲載誌…別冊マーガレット




■ ストーリー ■
 高校2年生の河野実月は、中学の時に家庭教師だった今井さんと結婚を前提に付き合っている。7歳年上で現在社会人の今井さんは仕事で忙しく、なかなかデートすることもできない。いつも今井さんのことで頭がいっぱいの実月だけど、なかなか愛情に確信が持てないでいた。今井さんに追いつこうと背伸びするけれど…


■ 総評 ■  ★★★★☆

 年の差モノ漫画ということですが、サラリーマンと高校生という組み合わせはありそうで実は意外と少ないです。この作品は、すでに二人は付き合っているところから始まります。その中で、二人がいろいろなことにぶつかりながら絆を確かめ合って、大人になっていくという、いちばんオーソドックスな展開です。

 ヒロインの実月は高校生で、7歳年上の今井さんと付き合っていても彼が仕事で忙しくて、会える日が少なくて不安になったりする。大人な今井さんの愛情に確信が持てず不安になる実月を、いつも今井さんが優しくなだめてくれる…という展開がひたすら繰り返され、パターンは見えてます。
 でも、実月と同じくらいに、実月を同級生とか若い男に取られるんじゃないかという不安、自分が忙しくて実月の気持ちが冷める不安とか、今井さんは今井さんなりの大人の不安があったりするわけで、結局は二人ともお互いに惚れていて、二人が幸せなシーンはとても安心します。

 相手役の今井さんがとにかく紳士。実月のワガママや不満を文句も言わず聞いてくれるし、恋人としての関係も実月が大丈夫になるまで待ってくれたり… 今井さんがとにかく実月を大事にしてるところがすごく伝わってきて、今井さんの男らしさに何度も胸がキュンとなります。

 内容自体はコテコテの少女漫画で、とくに目新しいことはないので★三つですが、今井さんのステキさと少女漫画のツボをおさえたところと、実際に年の差の恋をしている人なんかにはとても共感できそうな内容、年の差恋愛に憧れる人なんかにはとてもオススメなところで★4つです。個人的にはけっこうお気に入りの作品です。



■ 登場人物 ■
 
河野実月
 高校2年生。7歳年上の彼氏がいる。
 
今井宣好
 24歳。会社員。実月の恋人。
 
河野千津香
 実月の姉。
 
今井泰顕
 今井の弟。


※ここより下はネタバレとなっています。了承したうえでお読みください。


 1巻  1998年5月 発売

 この作品はもともと読み切りからのスタートということで、まずは読み切り時のものを収録。年の差モノです。主人公の実月は高校生で、昔家庭教師だった人で今は社会人の今井さんとお付き合いしているところから物語は始まります。すれ違いではないけれど、今井さんはお仕事が忙しくて実月はさみしい日々が続き、久々にデートしても今井さんは実月の門限を必ず守ってくれるし、子供扱いというわけではないけれど、実月が高校生という立場であることを考えてる。実月は自分がもっとおとなだったらと思って今井さんに釣り合うような女の子になろうと姉の真似ばかりするけれど、姉には敵わなくて自己嫌悪になる。
 実月と今井さんの出会い。実月の姉・千津香は今井さんの大学の時の同級生で、二人は仲が良かった。千津香の紹介で実月の家庭教師をすることになった今井さん。その時に実月は今井さんに恋をする。だけど、仲良さそうな今井さんと千津香の姿に、姉は今井さんのことが好きなのかもしれないという不確かな思い、姉に取られてしまうのがイヤで本当かどうかは知らないけれど、姉には好きな人がいる、だから私じゃダメですか?と、ウソをついてでも今井さんに告白して… ここから二人の付き合いが始まることになるのです。

 実月にとってこの話の中でライバル的な存在になるのは姉の千津香。自分が千津香の妹だから付き合ってるのかとか、今でも千津香の話をしたりすると不安になって、ウソついてまで告白したからそれが自業自得の不安になって実月にまとわりついてる。姉には敵うはずがないとわかっていながらも、姉のようになれたら今井さんに恥ずかしい思いはさせないと背伸びしてみたりするけれど、やはり姉のようにはなれなくて落ち込んだり。
 でも、実際には千津香の存在というのは実月の中でしか大きいものになっておらず、千津香が今井を好きだっという伏線もエピソードもなく、本当に仲が良い男友達の程度だし、千津香にはもう他に付き合っている男がいることになってるので、実月がひとり不安を抱えて嫉妬に駆られているだけ。

 不安になってばかりの実月だけれども、ふたを開けてみれば、今井さんにとってみても実月は初恋相手で、今井自身も、若い実月がどこかへいってしまう不安、自分の大人の独占欲に怖がられ嫌われたりすることを怖れ、実月の告白がなかったら付き合うこともなかったという事実。

 実月の不安を取り除くため、今井さんが実月の家にやってきて「結婚を前提にお付き合いさせてください。」と頭を下げる。ストレートすぎてかっこいいなぁ〜。しかも、ちゃんと指輪も用意してくれていた。指輪というのは恋する女の子の必須アイテム。その人の”所有の印”という意味があり、愛が形となっているものですから、恋愛漫画には欠かせないものだと思います。

 まずは読み切りということで、ここで話が完結するカタチとなっていますが、読み切りだけでもハッピーなラストで、ここからどんな二人の物語が見れるのがワクワク。



 ここから連載一回目。実月が今井さんからプロポーズされて2か月経ったところから始まります。冒頭から幸せいっぱいの実月だけど、やはりそううまくはいかず、デートしているところへ会った今井さんの会社の同僚。周りはおとなばかりで自分が子供に感じる、今井さんが自分の話をしたがらないことに不安になって、自分といたくないのかもと落ち込む。おまけに出張中の今井さんから電話がかかってきても女性といたことに疑ってかかったりする。実月の子供だからこその心配もあるんだろうけど、とにかく実月の頭の中は今井さんでいっぱいって感じ。
 仕事なのに実月に疑われたことでケンカになっても、門限を過ぎても帰ってこない実月が心配になって必死に探したり、指輪を無くした実月に怒りもしないで優しく迎え入れて、今井さんってば優しい人です。「必要なら新しい指輪買って何度でもポロポーズするぞ。」なんて、かっこよすぎるセリフです。こういうところに実月は惹かれたのかな。今井さん会社員ですから、何度も指輪買ったら破産しないか心配です。(笑)



 恋人たちのイベント・クリスマス。実月も今井さんと一緒に迎える初めてのクリスマスに胸を弾ませます。今井さん家で二人きりでご飯を食べることになるのですが、今井さんの部屋の合鍵を預かって喜んだり、今井さんの部屋で帰りを待ったり、脱ぎっぱなしの洋服を見てドキドキするなど、実月の恋する女の子の気持ちがよく現れていますね。
 だけど、結局今井さんは直前になって夜も仕事になってしまい、クリスマスの夜は過ぎる。今井さんの帰りを待って眠ってしまった実月が、翌朝帰って来た今井さんに不満をぶつける。今井さんは困惑した様子をみせつつも大人な対応で、実月を優しく包み理解を示し、今井さんの優しさにキュンとなりました。
 しかも、今井さんが実月の前で飲酒・喫煙をしないのは、実月の親の信用を失わないように、交際をもしも反対されて実月が大変なことにならないように考えていたなんて、今井さんステキすぎる!かっけー!

 さらに、実月に渡した合い鍵に、キーホルダーをつけてプレゼントしてしまうというサプライズ。やることがどこまでもかっこいい今井さん。指輪に合い鍵なんて、信用してない女の子になんて渡さないと思います。実月、今井さんにとても愛されてるよね。


 2巻  1998年9月 発売

 年末年始、今井さんの実家へ一緒に帰省することになった実月。そりゃ〜、ドキドキですよねー。今井さんは旅行と言っているけど、実月にとっては結婚を考えている人の実家へ行ってご両親にも会うわけだから、心の準備とか反対されたらという不安があるのは当然。
 だけど、今井さん家へ行ったら、今井さんは弟と一緒にゲームしてて実月のことなんかほったらかし。おまけに、地元の友人に誘われて恩師のところに会いに行ってしまうもんだから、二人きりの時間がなかなかない。平気だと言っていたけど、本心では不満に違いないですね。
 実家に帰った今井さんは、普段の大人で頼りがいがあり、実月のことを常に心配している時とは違って、子供っぽい一面をみせていた。でも、それは実家という居心地のいい空気が今井さんをリラックスさせていたこともあるし、実月のことを構っていないのは、自分が気にかけなくても優しい両親が実月のことを気に入ってくれるという確信があったのではないかなと思います。実際、今井さんのお父さんもお母さんもとても優しい人で、車で酔ってやってきても文句も言わず初対面の実月を温かく迎え入れてくれていたので、読者としてもホッとしました。今井さんはそういうこともすべてわかっていたんじゃないかなと思います。

 でも、今井さんは実月を連れてくることを言ってなくて、自分は何のために連れてきたのか不安になる。そんな不安な気持ちがあったけれど、今井さんは自分が育った町を実月に見せてくれたり、帰り際に実月と結婚を考えていることを話してくれて、結局今井さんのステキさに読者はまたキュンとさせられるのでした。「これからは(今井さんの実家に)いつもふたりで帰ってこよう。」と言ってくれて、実月もまた幸せを実感し、やっぱり最後にはラブラブになる今井さんと実月なのでした。



 実月のことが好きだという他校の男子生徒が出現!いきなりやってきて告白するけれど、実月に彼氏がいるのも知っているらしく、実月がサラリーマンの今井と付き合っているのを援助交際と思ってる。やっぱりはたから見れば高校生と社会人というのは違和感なんでしょうかね。
 実月のことが好きな大塚という男は強引なところもあって、おとなしい実月は友だちとして彼と遊びに行くとまるめこまれる。結局、今井さんにも女友だちくらいいるからいいやとか、大塚のことを友だちと納得させて一緒にゲームセンターに行くことに。だけど出張で予定より早く帰って来た今井さんと会う約束もしちゃって断りたいけど、強引な大塚が帰してくれなくて、困っているところにかっこよく今井さんが登場。相変わらず実月の王子様みたいな今井さんですね。ステキ。
 実月を救出し、大塚を睨みつけて帰る今井さんがコワイ… 今井さんはこうやって周りの若い男に実月を持っていかれることを恐れているんですよね。あれはきっと威嚇だと思います。

 今井さんによって無事に助け出された実月は、やっぱり今井さんといると安心すると実感。彼氏持ちでありながら、他の男性には不慣れでコワイと思ってる。だけど、今井さんは自分も他の男と変わらないと。でも、実月から今井さんは優しいし一緒にいてもこわくないと言われガックシの今井さん。そりゃそうでしょうね。それって自分を男として見られてないってことですから。



 今回はシビアで大人な世界の話。実月はまだ高校生だけれど、今井さんはりっぱな大人。もう1年くらい付き合ってるわけで、このままキス止まりとはいきません。
 実月は今井さんを驚かせようと、今井さんのマンションでご飯を作って帰りを待つけれど、今井さんは実月を家に帰そうとする。だけど、実月はもっと一緒にいた気持ちがある。本当は今井さんだってこのまま実月を帰したくはないけれど、大人の理性でガマンしてるんですよね。実月はそんなことわかってなくて、今井さんの中で理性の糸が切れたのか、実月を強引に抱きしめて襲うとするけれど、突然のことに怖くなって今井さんを拒絶してしまう実月。当然、その後の二人は険悪ムードになって、そのまま実月は帰ってしまいます。これは今井さん立場ないですよねー。相手が勝手に合い鍵使って入ってきて帰り待ったのに、それじゃまるで今井さんが逃げられたカタチになるわけですから。

 その後、実月は今井さんと会いたくてもどんな顔したらいいのかわからない。実月が今井さんもひとりの男だと意識しなければならい時、そして二人が恋人としてその先へ進まなければならない時期にきているんだと思います。
 忘れていった実月の今井さん家の合鍵。その後と前とでは意味が違って感じる。今井さんを男として意識し始めた以上、その合鍵を持つということはそれを覚悟しなくてはいけない。しかも、実月は今井さんに指輪だってもらってるわけですから、二人がいつそういう関係になってもおかしくないわけです。まだ精神的に子供の実月にとって、合鍵というものが一気に重たい意味になってしまったのでした。



 今井さんを男性として意識し始めた実月が、少女から女性への階段をのぼる時すぐそこまできてる。今井さんはもう1年も実月のことを待ってるわけで、実月がまだそういう覚悟ができていないと気持ちが冷めるだとか浮気されると聞かされ、実月の不安はますます大きくなるばかり。いつまでも今井さんだって待ってくれるわけじゃないと覚悟を決めた実月だったけれど、今度は恥ずかしさで失敗してしまう。でも、今井さんはそんな実月を笑って受け止める。実月が無理しなくても待ってくれるという、最後はやはり今井さんの紳士で大人な対応によりすべてがおさまってしまうんだよな。今井さん、ホントに実月のこと大切にしてますね。


 3巻  1999年3月 発売

 なんと、今井さんが半年間京都へ転勤!しかも出発の日まで4日くらいしかない。当然実月は今井さんと離れるのはイヤ。本当は「行かないで。」と言いたいけれど、今井さんの負担にはなれない。今井さん、出発の日まで仕事のひきつぎとかで忙しくて、実月に電話もできないままで、今井さんがこのまま会わずに居なくなるではないかという不安。まさか、今井さんに限ってそんなことはないだろうけど、やっぱり今井さんは出発の朝、実月に会いに来てくれて、実月の期待も読者の期待も裏切りません。(笑)
 自分がもっと大人だったら時間を気にしないでまってられるとか、今井さんを追いかけていけるのにとか思うのもわかるんだけど、いちばん応援してもらいたい実月に気持ちよく送り出してもらえないと今井さんもがっかりですよね。千津香も言っていたけど、実月が不満がっていたら今井さんだって安心して行けない。千津香ばかり幸せなのがずるいという気持ちも、その時の状況なら言ってしまうのもわからなくもないけれど、みんな実月と同じように高校生活を送って来たわけで、千津香が幸せになれるのは当然の権利だし、実月はたまたま高校生で社会人の今井さんに恋をしてしまっただけで、それはもうガマンするしかないと思います。



 今井さんが京都へ転勤で実月と遠距離になってしまいましたが、今井さんは苦手な電話を実月にちゃんとしてるみたいで、とりあえず大丈夫。それに千津香の結婚式がもうすぐということで久々に会えるのを楽しみにしていたのに、式の当日今井さんは日帰りのうえ、大学時代の友人が今井さんとべったりで、近くにいるのに話せない。
 でも、京都へ帰るため駅に向かった今井さんを追いかけて、ようやく二人きりになって、今井さんの胸の中で安心している実月がかわいいですね。抱きしめられた時に今井さんの胸の中にすっぽりとおさまってしまう実月というがまた良いですな。手を繋ぎながら新幹線待ってる二人が幸せそうで私も嬉しくなっちゃいます。

 実月は高3になったということで進路を考える時。今井さんと結婚の約束してるし、姉の千津香の結婚式を見たこともあって、卒業したら今井さんのお嫁さんになることしか考えられない実月だけど、今井さんから進路のこと逃げないでよく考えろと。こういう漫画に出てくるヒロインは、卒業後の進路がだいたい結婚ですよね。(笑) もうとにかく相手のことしか考えてないという。でも、実月と今井さんの関係でいったら、実月が進級かすぐに結婚か決断を迫れるというのは妥当な展開でしょうね。



 実月の今井さんへの依存は相当なものですね。卒業後の進路に、今井さんが行けと言うなら進学するとか、でもそばにいたい、結婚したいとか、今井さんの一言で実月の今後が決まるみたい。本当に頭の中はうっとおしいくらい今井さんでいっぱいです。(笑)
 あと、今井さんは確かに実月にプロポーズはしたけれど、すぐに結婚しようとかいつ結婚しようとか具体的なことは言ってないですよ。案の定、今井さんまだ結婚するまでの余裕はないとかで、でもそれは決して実月のことが重荷とかそういうことではなくて、実月のこと考えてるからこそちゃんと結婚までできる経済力とか気持ちとか環境になったらするということだと思います。

 今井さんに突き放されて泣いてわめく実月。この子は甘ったれでホントよく泣きますね。これまでも指輪失くした時とか、今井さんがクリスマス仕事になった時とか、今井さんに浮気されるんじゃないかと不安になった時とか、今井さんが京都に行っちゃう時とか… たぶんこの漫画で描かれてないところでも泣いてるんじゃないだろうか… なのに、今井さんは必ず最後には自分から実月のことなだめて、ホント紳士。実月にはもったいないくらいの男だわ。
 そんな実月を励ましてくれるのは姉の千津香。今回も今井さんに突き放されて、実月に目を覚まさせたのは千津香だったし、実月が今井さんとの進展に悩んだ時も千津香が支えてくれた。最初もしかしたらライバルになったかもしれないという姉の千津香が、今は実月にとっていちばんの恋の相談相手で、千津香がいなかったら実月は今井とのぎくしゃくした関係を乗り越えて行けなかったんじゃないかなと思います。

 千津香からの言葉で自分が今井さんに甘えてることに気付いた実月は、今井さんに会いに京都へ。なんと、貰っていた婚約指輪を今井さんに預けてしまいます。今井さんに返品は受け付けないと貰った時に言われてたけど、「返品じゃなくて預かってください。」ということで、結婚の話は保留?実月が今井さんに頼らずに自分の足で立とうと決意したところはちょっと見直したけれど、新幹線の中で今井さんを想いながら泣いてしまうところなんかは、実月の気持ちが痛いくらいにわかるので切ないです。



 甘えた自分を髪と一緒に切り落とした。実月の決心が伝わります。そして、実月は幼稚園の先生になりたという夢を追い、進学することに決める。今井さんから自立していく実月に大人になったなと思っていたけど、今井さんってば、それもそれでつまんないとか、いったいどっちなの?(笑) なんだかんだ言っても今井さんも実月に惚れてるんですよね。だから実月に頼られて悪い気はしないんじゃないでしょうか。今回実月を突き放したのは、家庭教師をしていたとき実月が幼稚園の先生になりたいと言ったことをちゃんと覚えててくれてて、実月に後悔してほしくないという今井さんの思いがあるのではないでしょうか。今井さんってやっぱりステキですね。

 ケンカして仲直しての繰り返しで、やっともとに戻ったところへ、今度は今井さんのもう一人の弟で次男の泰顕登場で、また一波乱!? 泰顕はみるからに遊び人のような男。女タラシみたいな感じで、実月のことについても何か話してたけど、そしたら急に今井さん不機嫌になって「あいつには手を出すな。」とか、泰顕に対して何か抵抗感がありそう。泰顕がキーパーソン?


 4巻  1999年10月 発売

 恋愛漫画で忘れちゃいけない、相手役の元恋人。最終巻ということで、ラストは今井さんの元カノ登場〜。前回、実月との約束ほっぽり出していなくなった今井さんは、元カノに呼び出されていたのでした。その元カノは8歳年上の人と結婚して子供も産んでいるが、最近離婚。その子供がいなくなったとかで、近所にいる今井さんに連絡をした。ていうか、昔の男に連絡するなんて、未練あるのまるわかりだよね。案の定、今井さんのことまだ忘れられなくて会いに来たと言う、予想通りの展開になってます。

 そこでやはり超不安になる実月。たびたび出現する元カノ、電話までかけてくる。今井さんは信じていいと言ったけど、やはり不安は消えない。そんな実月がとった行動は、今井さんの元カノの家へ直談判!いやぁ〜、最後の最後で実月が大胆になりましたねー。びっくりだわよ。今カノVS元カノの直接対決!ドラマみたいだね。「今井君を帰して。」とか修羅場。
 でも、恋をしていればそういう場面に遭遇してしまうこともあるかもしれない。実月はこの恋で醜くみっともない自分を知ることになる。嫉妬してだれかを傷つけ自分も傷ついたりすることもある。だけど、今井さんを好きだという気持ちはだれにも負けない、今井さんの想いが自分にパワーを与えてくれる。初めて体験する恋の修羅場に実月が大人な世界へ踏み入れたけれど、今回の試練は実月にとって恋して強くなるということを実感し大人になっていったんだと思います。

 実月と元カノの現場へやってきた今井さん。実月を連れて帰り、元カノに呼び止められますが、今井さんの気持ちはひとつ。実月を愛しているということ。よりを戻したいと迫られても実月が大切だということをはっきり伝えた今井さんがかっこよいです。
 昔はタラシで遊び人だった今井さん。だれと付き合っても本気になれる女性がいなかった。今回出てきた元カノもそうだった。でも、今井さんがやっと見つけた実月という特別な女性。そして、今井さんもまた実月と同じように不安になることがある。自分が社会人で仕事が忙しくて実月にさみしい思いばかりさせて、飽きられて逃げられるという不安。そして、実月の周りの男。恋をするのに子供も大人も関係なく、嫉妬したり不安になったりする。泰顕が一緒にいてもイヤだという今井さんもまたけっこうヤキモチやきですね。

 元カノの出現は二人の愛の絆を確かめ、一層深まったカタチとなり、そのままエンディングをむかえるといういい流れになってます。二人で帰ってきて、居候の泰顕が苦しい立場に… 実月&今井のラブラブパワーに押されて、逃げるかのように去っていく泰顕に可笑しくなりながらも、二人の幸せそうな姿に私も安心。
 泰顕は危険な香りがする男で、その後物語にどう絡んでくるかなと思いましたが、結局派手な動きはみせることなく、実月の行動の手助けをするにとどまりました。
 そして、今井さんが長いこと耐えてきましたが、やっと実月が大人になりました… ふふふ。。。 今井さんの本当の気持ちをしり、実月の心はもう揺らぎません。よかったぁ〜。

 そして、数年後。実月が幼稚園の先生になるという夢を叶え、相変わらず仕事で忙しい今井さん。今井さんと実月の結婚式を期待していた読者もいましたが、ラストは結婚間近?という終わり方。今井さんが指輪ポケットに入れてましたからね。きっと、その晩に今井さんは実月に本当の意味でプロポーズしたんじゃないかなとか、素敵な結婚式になったんじゃないかなぁ〜とか、二人の幸せをいろいろと想像してしまいます。